014 秋の恵み、きのこと一緒に
Copyright:モーセルヴェ 伊藤 歩
今年はきのこが豊作のもよう。
セップ茸は例年よりもずっと安く、ジロル茸はロシア産、ポルトガル産のものがマルシェ(朝市)の軒先に山盛りです。
きのこ好きで秋の到来を首を長くして待っていた私にはうれしい限りで毎週末のきのこ料理に笑いがとまりません。
いいきのこにはブルゴーニュの白ワイン、特にムルソー(Meursault)やピュリニー モンラッシェ(Puligny Monrrachet)の良く熟成したもの(6年以上たったもの)の中にはトリュフ、ジロル茸、マッシュルーム等のきのこの香りが出現してくるものがあり、そんなワインときのこの高貴な香り、プチリッチを楽しめるオーセイ デュレス(Auxey Duresse)の白ワインをご紹介しましょう。
オーセイ デュレスはムルソーのお隣りの区画、ピノ ノワール種の割と骨太の赤ワインも産出しますが、シャルドネ種の白ワインは、しっとりと延びのある酸、レネット種のりんご、フレッシュアーモンド、きっちり厚みのあるミネラル分が特徴。
お隣りなだけあってムルソーを小さくしたようなつくりのものが多く、ムルソーまではお値段が出せないけれどリッチな白が飲みたいなあ、というときにお勧め。
それでは今回ご紹介するMichel PrunierのAuxey Duresses Vieilles Vignes 1999をテイスティング。
まず色が濃い、光のあるオレンジ。
グラスに注ぐとふっとジロル茸の香りが鼻先をかすめ、コクのあるアーモンドロースト、レモンコンフィ、上品な樽香、サフランの華やかな香り、口の中ではレモン果汁のような酸味、ナッツ、焦がしたバターのコクにパワーのあるミネラル分が脇を固め、全体にパワフルで上品な印象。
後味に再びシャンピニョン、オレンジの皮、ほんのりカカオ、最後にメントールがのどを滑り落ちていきます。
彼の造りは守りのない、迷いのない直球型なのですが、このキャラクターの強さで押し付けがましくなく、上品にまとめる仕上がりはさすが。
お値段も26.50ユーロとやさしい価格でリッチな気分満喫です。
最高の相性は、ジロル茸のオムレツでしょうか。
お肉と合わせる場合は仔牛のフィレのソテーにジロル茸のソテーを添えて、セップ茸と合わせる場合はフリット(天ぷらもOK)に塩とレモンだけで。
ロースのとんかつを塩こしょうだけで、というのもイケます。
最後に、ワイン好きにはガリラー(にんにく好きのことをこう言うらしいですね)が多いようですが、ジロル茸のソテーにはくれぐれもにんにくを使わないようにしましょう。