005 春先になぜかマスカットの香り
Copyright:モーセルヴェ 伊藤 歩
まだまだ寒い日が続きますが木々の青葉を見ると気分はすっかり春です。
私だけ? いや、そんなことないはず。
春の陽気のいい日はキリッとした白ワインでピクニックなどいかがでしょう?
そんなイメージのワインを今回はご紹介いたします。
【ボジョレーの白ワイン】
ブルゴーニュ最南端に位置するボジョレー地区、都市でいうとリヨンのそば。
赤はガメイ種、白はシャルドネ種、いずれも品種をまぜることなく単一種でワインがつくられます。
ボジョレーは白なんかあったの? という声が聞こえてきそうなほど赤中心です。
確かに長熟に耐えられたり(数少なくてもそんなボジョレーもあるのです)飲みごたえのあるものは赤ですが、白もいくつかの作り手がなかなか美味しいものを作っています。
赤については、以前この連載第1回ですでにお話しましたので、今回はマイナーなボジョレーの白ワインについて。
ブルゴーニュのシャルドネ種はりんごの香りと酸味のバランスがよく、万人受けする品種の1つですが、なかなか幅の広い品種でキリッと酸のきいたさっぱりしているもの、バターナッツのコクがあるむっちりセクシータイプと作られるタイプはさまざまです。
これは地区によってだいたいのタイプはつかめますが、ワインはいつも例外に満ちあふれている世界ですから、残念ながらひとつひとつ飲んで気長に味を覚えていくのが最良の方法のようです。
食中にも食前酒にも良いし、オールマイティのシャルドネ種の白ワインですが、いかんせん美味しいものは15ユーロを越えてしまいます。
そこでシャルドネで10ユーロのものが欲しい、となったときの手頃なポジションにいるのがボジョレーの白です。
【Chermette夫妻の作るシャルドネ種のしゃっきりタイプ】
今回ご紹介するワインはBeaujolais Blanc 2004 Domaine du Vissoux、Chermette夫妻の作るシャルドネ種のしゃっきりタイプの白ワイン。
このワインの特筆すべき点は香り! シャルドネ種らしいりんごのコンポートの香りに加えてなぜかマスカットの香りがします(ボーヌの白ワインでもこのタイプをいくつか見かけます)。
香りでオッとしたあとに口に含むと、これぞシャルドネの丸いコクにきれいな酸がピチピチ、脇を固める程よいミネラル、とスルスルっとグラスが空いてしまうのです。
価格は10ユーロ前後。
唸って飲むよりも、どこまでもカジュアルに飲んで欲しいワイン。
合わせるお料理はサンドイッチ(きゅうりの入ったものがベスト)、サラダ、魚介のマリネ、ジャンクですがフィッシュ アンド チップスもよさそう。
ピクニックのワインということでこんなメニューばかり上げてみましたが、さらさらいくらでも出てくるところでいかに自分がピクニック欲にとらわれているのか実感しました、はい。
あぁ、ちらし寿司とも良さそう。
さてこの辺にしてそれでは皆さん、お弁当とワインを持ってぜひぜひピクニック!