047 黄金の丘を往く1/2
フランスのブルゴーニュ(Bourgogne)地方、ワインの産地として名高いコート ドール(Cote d'Or:黄金の丘)への旅。
旅の始まりはディジョン(Dijon)から。
駅でレンタカーを借りて、出発!
最初に訪ねたのはヴォルネイ(Volnay)の村。
ブルゴーニュの中でも、最も繊細な味と香りのワインを産出するところ。
一面のぶどう畑。
しかし実際には大小さまざまに区切られていて、それぞれに名前が付けられているとともに、等級が与えられている。
なお、1つの畑でありながら、その中で等級が分かれている場合もある。
ブルゴーニュでは、1つの畑を複数の耕作者が共有している場合が多い。
畑の中には何本もの畝(rang:ラン)があり、その単位で造り分けている。
「どの畝が自分のものか、すぐに判るのですか?」と訊ねたら、「間違えることはないよ、人それぞれに手入れの仕方が違うし、ぶどうの木の樹齢や使っている杭も違うから…」とのこと。
なお、1つの畑を単独の耕作者が占有している場合はモノポール(monopole)と呼ぶ。
若いぶどうの房。
房は春に選別し、1本の木に残すのは6房~8房のみ。
そして最終的には、そこから約1リットルのワインができる。
ブルゴーニュ地方、とある蔵元のカーヴ。
ワインの保管にとって理想的なのは、気温14度前後、湿度80%位とのこと。
静かに横たえられ、じっとその時を待つワインたち。
ブルゴーニュには、「本当にいいワインは旅をしない」という言葉があるそうだけど、まさにこれがそれ。
ヴォルネイの村にただ1軒のレストラン、ル セラー ヴォルネイジアン(Le Cellier Volnaysien)。
文字通り、村人のためのお店。
とある蔵元のご主人と一緒に、村のレストランでお昼ご飯をいただく。
蔵元のカーヴから畑や生産年の異なるワインを数本持ち込んで、その味わいや香りの違いを楽しんだ。
前菜は、テリーヌ(terrine)とソーシソン セック(saucisson sec)。
やはり赤ワインには、この手のものが良く合う。
主菜は、コック オ ヴァン(coq au vin:若鶏の赤ワイン煮)。
地元の食材と地酒の取り合わせはホントに素晴らしい。
ブルゴーニュ地方、コート ドールをドライブ。
今回は1人旅のせいもあって、ついつい鼻歌が大きな声になる。
その昔、ぶどうの収穫に使っていた籠。
収穫した房の重みで果実を潰さないように、深さの浅い籠を用いる。
画家クロード モネの1884年の作品「ぶどう籠」にも、よく似た籠が描かれている。
ドメーヌ(domaine:蔵元)なんて言うと聞いたところがいいけれど、その多くは、ぶどう農家かワイン農家と言った方が、より実態に近い。
蔵元のご主人自ら額に汗を流し、手に豆を作って働く…。
僕は、ブルゴーニュ ワインの、そういうところが好きだ。
展示用に側面をガラス張りにして、中が見えるようにした白ワインの樽。
樽の底に澱(おり)が溜まっているのが分かる。
棒でつつくと、ご覧の通り。
澱は予想以上に細かい…。
樽に眠るヴォルネイを少しだけ飲ませてもらう。
味や香りは若いけれど、世に出る頃にはエレガントになっているはず。
ちなみに1樽はワイン300本分。
とある蔵元にあった2009年のヴォルネイの樽。
チョークで書かれた数字の5と→は、ここから右に向けて5つの樽にヴォルネイが仕込んであるという意味。
1樽でワイン300本分だから、この蔵元の2009年のヴォルネイは約1,500本。
ヴォルネイの村にある、シャンパン(Champans)という名の1級畑。
ちょっと紛らわしいけれど、フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ワインのシャンパン(champagne)とは別もの。
ヴォルネイの丘の上から、隣り村のポマール(Pommard)を望む。
距離にしてほんの少ししか離れていないけれど、ポマールのワインの味と香りはヴォルネイのそれに比べて、より力強いと評されることが多い。
ブルゴーニュ地方、サヴィニー レ ボーヌ(Savigny les Beaune)村の蔵元。
コルトン(Corton)の丘。
ここは赤、白ともに、特級酒(グラン クリュ)を産出する珍しい土地柄。
コルトンの丘に寄り添うようにして佇む、ペルナン ヴェルジュレス(Pernand Vergelesses)の村。
僕は、この辺りで造られるワインも好み。
ペルナン ヴェルジュレスの村にて。
アロース コルトン(Aloxe Corton)の村の蔵元にて。
庭先に咲いたたくさんのばらが本当に美しかった…。