525 パリの街の変化
さて今日は、フランス パリの街の変化についてお話したいと思います。
パリは東京に比べて変化の少ない街だと思いますが、ここ数年、目に見えて変わりつつあるものもあります。
例えば、パリの老舗デパート、サマリテーヌ(Samaritain)。
セーヌ河にかかるポン ヌフ(Pont Neuf)のたもとに立つ建物は、建築上の安全に関する問題から閉鎖され、現在は建物の周囲も含めて再開発が進められています。
また、シャトレ レ アール(Chatelet Les Halles)にあるショッピングセンターのフォーラム デ アール(forum des Halles)も、現在改装工事中です。
いずれもパリの真ん真ん中にあり、かつ、再開発や改装の規模も大きいので、パリの街における大きな変化として注目されています。
なお、今日お伝えしたいパリの街の変化は、もっと身近なこと。
日々の生活の中で感じた変化についてです。
1つめは、マルシェかごについて。
マルシェかごとは、マルシェ(朝市)でお買い物をする時に使うかごのこと。
アブダ(abda)やタザ(taza)と呼ばれる椰子の葉で編んだ、素朴で自然な風合いのお買い物かごです。
2004年に僕がパリに来た頃には、あちらこちらのマルシェで、このかごを手にした人を見かけたものでした。
また、僕自身もこのかごを持って、バスティーユやアリーグルのマルシェでお買い物をしていました。
ところが最近は、マルシェかごを使う人の数もめっきり減ったように思います…。
そして、その代わりに増えたのが、ビニール製の大きなお買い物バッグを持った人々。
フランスの大手スーパーマーケットなどで売っている、安くて、軽くて、丈夫なビニール製のお買い物バッグです。
なお、かく言う僕も、現在はビニール製のお買い物バッグを使っています(すみません…)。
安くて、軽くて、丈夫であることの他、中に何も入っていない時には小さく折りたたむことができ、また、野菜や果物から出た水分や果汁がついても、お掃除(お手入れ)が簡単だからです。
しかし、あの素朴で自然な風合いのマルシェかごが、パリのマルシェから消えていくのは、なんだか寂しい気がします。
2つめは、酒屋さんについて。
ここで言う酒屋さんとは、パリの街中にある、ワインを主に商うお店のこと。
フランスにおける国民1人あたりのワインの消費量は年々減っていると聞きますが、僕の住んでいる界隈を見る限り、明らかに酒屋さんの数が増えています。
あそこにも、ここにも、酒屋さんができました。
しかも、いずれも個性的なお店ばかり。
フランス全土に店舗展開している大手スーパーのワイン売り場や、全国チェーンの酒屋さんでは目にすることがないような、上質で個性的なワインやBIO(ビオ:biologique:有機農法)のワインを揃えています。
なお、調べてみたら、フランスにおけるワインの消費量は、確かに減少傾向にありました。
しかし、その内訳を見てみると、安物のワインの消費量が大きく減少する一方で、上質なワインの消費量はむしろ増えています。
これは、フランスの人々が、従来よりも上質なワイン、美味しいワインを求めるようになった現れなのではないかと思われます。
また、それに応えるために、生産者もより上質なワインを生産し、その結果、上質で個性的なワインやBIOのワインを扱う酒屋さんも増えた…ということなのかも知れません。
皆さまもパリにいらした時、そんな酒屋さんに入ってみてください。
そして、フランスワインの新たな魅力や奥深さを感じていただけたら嬉しく思います。