519 世界一周の旅を終えて
友人のローランスさん、ポールさんのご家族が、約1年半にわたる世界一周の旅を終えて、パリに戻って来ました。
彼らには、10歳になるガストン君と、5歳になるアデルちゃんの2人のお子様がいらっしゃいます。
義務教育の年齢にあるガストン君を、学校を休ませて旅に出ることを決めた彼らに、私が仰天したのは約2年前。
2人とも学生の頃に若くしてガストン君を授かり、その後は学業と仕事が忙しすぎて、子供と一緒に過ごす時間がもっと必要だと悩む毎日だったとか…。
その後、少し貯金ができ、家を買えるほどではないけれど、しばらくは働かなくても旅をすることはできると思い、家族4人での密度の濃い時間を過ごすため、世界一周の旅に出ることを思いついたというのです。
なお、ローランスさんは、フリーランスのグラフィックデザイナー。
また、ポールさんは、自ら会社を起こしてアタッシュ ド プレス(Attache de presse:ファッション業界において、企業や製品の広報活動を行う)のお仕事をなさっていました。
そのため、出発までにローランスさんはすべてのお仕事を片付け、また、ポールさんは会社を売却。
さらに、家財道具は田舎の実家にあずけ、大きなリュックサックに最低限の荷物を詰めて、家族4人で旅立ったのです…。
パリを出発した後は、アフリカ、インド、アジア、南アメリカ、北アメリカの順に世界を回り、それぞれの土地に住む人たちとできるだけ近い生活を送るため、アパートや一軒家を借りたり、間借りや安いホテルを見つけたりして、1か所に長く滞在したとのこと。
そして、サッカーが好きなガストン君が、地元の子供達とすぐに仲良くなるのをきっかけにして、家族ぐるみでの交流をすることができたそうです。
ただし、旅行中に困ったことも…。
食べ物の好き嫌いが多いアデルちゃんが、1番困ったのはインドの食事。
辛い料理が多くて、食べられるものが少なかったとか。
なお、旅行中の教育には、フランスの通信教育の制度を利用。
この制度は、病気などで学校に通うことができない子供達に広く利用されているもので、小さいながらも学校の形式をとり、先生はローランスさんとポールさん、生徒はガストン君とアデルちゃん。
そして、月に1度程度、郵便で課題をフランス本国に送るとのこと。
ただし、各国の郵便事情のせいで、それが届かないなんてことも…。
また、成績が悪いと通達が来るので、親子みんなで真剣に勉強をしたとのことでした。
ちなみに、荷物の重さ10数キロのうち、約7キロは学校の教科書が占めていたそうです。
さて、旅から戻り、以前に住んでいたパリの18区にほど良い広さのアパートを見つけ、また、お仕事や学校も始まって、以前のような生活に戻りつつある彼ら。
先日、そこへお邪魔して、土産話をたくさん伺ってきました。
今は、旅の途中で出会った多くの人たちに親切にしてもらった感謝の気持ちでいっぱいなのだとか。
私がこうして彼らから話を聞いたくらいでは到底理解することができないような何かを、彼らはしっかりと経験してきたようです。