518 もうひとつのパリ
我が家には、日本語で書かれたパリのガイドブックが何冊かあります。
そして、それらのガイドブックを眺めていると、あることに気づきます。
それは、パリの街をいくつかの地区に分けて紹介していること。
あるガイドブックでは、以下の7つの地区に分けています。
- シャンゼリゼ
- ルーブル、オペラ
- シテ島、サン ルイ島、バスティーユ、マレ
- サン ジェルマン デ プレ、カルチェラタン
- モンパルナス
- アンヴァリッド、トロカデロ
- モンマルトル
また、別のガイドブックでも7つに。
- シャンゼリゼ
- ルーブル、オペラ
- バスティーユ、マレ
- サン ジェルマン デ プレ
- カルチェラタン
- エッフェル塔、パッシー
- モンマルトル
さらに、別のガイドブックでは6つに。
- シャンゼリゼ
- オペラ、レピュブリック
- バスティーユ
- サン ジェルマン デ プレ、カルチェラタン
- エッフェル塔、アンヴァリッド
- モンマルトル
しかしこれらの地区を見てみると、表現やくくり方の違いはあるにせよ、いずれも同じ場所を紹介していることが分かります。
そしてこのことから察するに、日本からご旅行でパリにいらっしゃる方々にとっては、これらの地区こそが「パリ」であると言えるのかも知れません。
事実、あるガイドブックの中には「もうひとつのパリ」と題した章が別にあって、ほんの数ページで、上記以外の地区をサラリと紹介していました。
また、上記の(7つまたは6つの)地区を紹介するページを見てみると、以下のような言葉とともに街の様子が綴られています。
- 現実を忘れさせるほどの美しさ
- 豪華、優雅、エレガント、そして憧れ
- パリの中心地
- 芸術、歴史、モード…美の中心
- 貴族の館が今も残る…
一方、「もうひとつのパリ」のページの中には、以下のような言葉が目立ちます。
- 情緒豊かな風景
- 懐かしい雰囲気
- パリの裏通り
- パリの日常、パリの素顔
- さまざまな人種が行き交う…
もちろんこれはパリに限ったことではなく、東京でも大阪でも福岡でもそうなのかも知れません。
どの街にも、華やかな面と地味な面とがあるのでしょう。
しかしどちらも、パリであることには変わりなく、そして現実です。
皆さまがパリにいらした時、ほんの少しでも「もうひとつのパリ」をご覧いただくことができたら嬉しく思います。
すなわち、「情緒豊かで、どこか懐かしく、さまざまな人種が行き交う、パリの裏通り、パリの日常、パリの素顔」を…。
ただし、「上級者のためのパリ…」とか、「達人が教える秘密のパリ…」とか、「暮らすように歩くパリ…」といったニュアンス(?)のガイドブックの中には、必ずしもお薦めしない地区について書かれたものもあるようです。
さまざまな人種や社会的境遇の人々が暮らすこの街では、通り1本隔てただけでガラリと雰囲気が変わる(あまり治安が良くない)場所があるのも事実です。
とくに1人旅の場合には、「あれ? ちょっと雰囲気がおかしい…」と思ったら、それ以上は先に進まないようにしてください。
先ほどご紹介した「もうひとつのパリ」のページの中にも、「くれぐれも注意して歩こう」とか、「夕方以降の女性の1人歩きはおすすめしない」と、注意を促す言葉が記されていました。
個人的な経験から言わせていただければ、ちょっと慣れてきた時こそ要注意…。
2度、3度とパリを訪れ、だいたいの観光名所はすでにご覧になったという方ほど、ご注意いただきたいと思います。
そして1人でも多くの方が、パリの表も裏も含めて、この街を好きになってくださったら嬉しく思います。
追伸、
パリへのご旅行をご計画中の方に、もう一言。
パリでは毎週月曜日が定休日のお店(各種小売店やレストランなど)が多いので、「是非訪ねてみたい!」とか「このレストランで食事がしたい!」とお思いのお店がある方は、お出かけ前にご確認ください。