500 春が来るまで

暗くて寒いパリの冬…。
サマータイムの終わった11月頃からは昼間の時間が特に短くなったように感じるとともに、お天気も曇りや雨の日が多くなり、「今日は1日中、雲1つない青空!」という日が、本当に少なくなります。

陽の光に当たることができないことによる精神面への悪影響について、私はパリに住み始めて身をもって知りました(雪国新潟出身の阿部は、意外と平気なようですが…)。

先進国の中でも自殺率の高い国のひとつと言われるフランスですが、もしも冬にもっと太陽が出てくれれば、状況も少しは変るのではないかと思います。

日本にいた頃には「精神科のお医者さんに掛かる…」なんて言うと大変なことのように思いましたが、ここフランスでは、精神科医のカウンセリングを受けることは、珍しいことでもないようです。
また、私の身近にも精神科医が何人かいて、秋や冬には患者さんの数が増えるとも聞きます。

なお、「モノトーンのパリも、シックで好き」という人もいらっしゃると思いますが(あっ! 阿部だ)、たまに味わうだけならまだしも、来る日も来る日もどんよりとした曇り空のパリの冬は、正直、私は苦手です。

そして、だからこそ、この季節を少しでも楽しく過ごすことができるように工夫することが必要なのだと思います。

例えば、お部屋の中を暖かくして、寝具やテーブルウエア、クッションなどのテキスタイルは、暖かな色合いのものに交換。
また、寒さも暗さもピークを迎えるクリスマスの頃には、お部屋の中にサパン(もみの木)を飾って賑やかに。
そして、クリスマスプレゼントやカードなども、それらを準備することから楽しむようにしています。

さらに、お気に入りのお菓子や美味しい食べ物を切らさないようにしたり、気分転換になるようなスペクタクル(観劇)やお出かけの予定を入れて先の楽しみを増やしたり。

本音を言えば、年末年始は日本に帰って、家族や親戚と一緒に過ごしたいものです。
パリ在住の日本人で、私の友人の多くは、年末年始はパリを離れて日本に帰るか、または、ご家族のいるフランスの地方(フランス人のご主人のご実家など)にお帰りになります。

しかし、そうそう長期のお休みばかり取る訳にもいかないし、また、年末年始は日本への航空運賃も高いので、我が家はここ数年、フランスの地方にある海辺の小さな町で過ごしています。

この年末は、南仏コートダジュール(Cote d'Azur)にあるジュアン レ パン(Juan les Pins)という町に出かけ、静かに、のんびりと過ごしました。
また、お隣りベルギーから、友人家族がパリに遊びに来てくれて、楽しく過ごすこともできました。

そして冬至も過ぎた今、あとは春に向かって毎日少しずつ日が長くなるばかり。
寒さはもうしばらく続くと思いますが、気分はすでに上向きに。
春が来るまで、もうひと頑張りです。