490 フランス3大ビックリ
先日、日本で会社員をしていた頃の同僚がパリを訪れたので、一緒にお散歩を楽しみました。
「この街に住んでいる人のように歩いてみたい…」という彼女達のご要望にお応えするため、昔ながらの風情が残る裏通りを歩いたり、地元の人たちがくつろぐカフェやレストランでゆっくり過ごしたりと、なかなか楽しいひと時でした。
なおその時に、彼女達から聞かれたことがあります。
それは、「パリに来てからの3大ビックリて何?」と言うもの。
1週間の旅程でパリを訪れた彼女達でも、日本との違いに驚くことがいろいろあったそうですから、この街に住んで数年経つ僕には、もっとビックリするようなことがあるはずだ、と思ったようです。
しかし、突然の質問に、面白い答えを出せなかった僕…。
そこで後日、パリに来てからの月日を思い返しながら、3大ビックリについて考えてみました。
1つめは、パリのアパルトマンについて。
パリのアパルトマンは、古くて住みづらいということです。
パリのアパルトマンなんて言うと、何となくオシャレな感じがするかも知れません。
しかし、日本のマンションやアパートの現状(建物や間取り、設備など…)を知っている者にとっては、ビックリすることがたくさんあるのです。
例えば…
- 大きくて、恐ろしく重い、アパルトマンの入り口のドア
- 2つも3つも鍵が付けられた部屋のドア
- 歩くたびにギシギシと音を立てる木製の床や階段
- 真っ暗な廊下や階段、窓の少ない薄暗い部屋
- スイッチを押すと一定時間(2~3分)だけ点く廊下や階段の電灯
- 思わず乗るのをためらってしまうほどに古いエレベーター
- あきらかに傾いている壁や床
- 隙間やささくれのある木の床(フローリング)
- 建て付けが悪くてきちんと閉まらないドア
- すきま風の吹き込む窓(ガラスは二重なのに…意味なし)
- 老朽化した水廻り(水漏れや排水管の詰まりなど)
- 壊れた電気のスイッチやコンセント、すぐに切れてしまう電球
- 住人が自分の手で(勝手に)、間取りや内装を変えてしまうこと
- シャワーしかないお風呂場
- 浴槽はあっても、洗い場もシャワーカーテンもないお風呂
- 長い時間使っているとお湯が出なくなる給湯器
- 換気扇のないお風呂場や台所
- つま先立ちしてしまうほどに高い台所の流し台(ちょっと大袈裟)
- 台所の流し台の下に置かれた洗濯機
- お化け屋敷みたいな地下のカーヴ(物置)
2つめは、パリの公共交通機関について。
パリの公共交通機関は、かなり大雑把だということです。
パリには、メトロ(地下鉄)や高速郊外鉄道、市バスなどの公共交通機関があります。
乗り物という意味では特に驚くものはありませんが、その運行状況やサービスについては、ビックリすることがたくさんあります。
例えば…
- 頻繁に起こる電車やバスの遅れ、運行の乱れ
- 年間に幾度となく行われるストライキ(運休や間引き運転)
- 電車がホームに停まる前に開いてしまうドア(あぶない!)
- 無銭乗車する人が多い(バスでも、メトロ(地下鉄)でも)
- 車内の汚れや匂い、落書きの多さ
- 臨時で停まらない駅や、乗り換えできない駅がある(工事による)
- 壊れた改札機や券売機、動かないエスカレーターにエレベーター
- 薄暗い駅のホーム、薄暗い車内
- 駅員さんが一人もいない駅のホーム
- 私服で電車やバスを運転する運転手さん(運転手に見えない)
- 時間の経過とともに到着予定時刻が遅くなるバス停の運行案内板
- 突然ルートを変更するバス(いつもとは違う道を走っちゃう)
- 途中で運行を止めるバス(そこで乗客全員が降ろされちゃう)
3つめは、日本とフランスとの距離について。
日本とフランスとは約1万キロ離れているそうですが、ここでいう距離とは意識的なこと。
この国に住み、親しくなったフランス人と日本について話す中で、ビックリさせられることも少なくありません。
例えば…
- 日本のお家って、木と紙でできているの?
- 日本人って、犬を食べるんでしょ?
- 日本? ああ、知ってるよ。カメラと自動車を作ってる国だろ?
- 日本人って、全員が柔道できるんだよね?
- 押忍(オッス)!って、いつ使ってもいい挨拶なの?
- 日本人の目が細いのは、漢字が細かくて読みにくいからでしょ?
- スシ、ヤキトリ、テンプラ、日本食大好き!
- ご飯(白飯)には、お醤油か焼き鳥のタレをかけて食べる
- マンガ! アニメ! コスプレ! ニッポン、サイコー!
なお、上記の1つめと2つめのビックリは、現在の日本の状況と比べればこそ。
日本の住宅事情や交通事情が、正確かつ快適で素晴らしいということだと思います。
一方、3つめのビックリは、まだまだ遠い国、ニッポンの表れ…。
日本という国の存在は誰もが知っているけれど、アジアの端にある小さな国…という認識。
また、日本も韓国も中国も同じ文化圏だと思っていらっしゃる方も少なくないようです。
また、今日お話した3大ビックリ以外にも、大小さまざまなビックリがあります。
つい先ほども、小包を届けに来た郵便屋さんが…
「受け取りのサインをください」
…と言うので、いつも玄関に置いてあるボールペンでサササッとサインをしたら…
「すみません、そのボールペン、もらえませんか?」
…との一言。
一瞬、目が点になったけれど、「はい、どうぞ」って渡したら、ホントに持ってちゃった!
こんなこと、日本では考えられないでしょ?
でも、ここはフランス、これがフランス…。
これからも、この国の生活や習慣、価値観などに慣れることなく、いつまでもビックリを味わいたいと思います。