480 パリ、とあるレストランにて

先日、パリの街中にあるレストランで食事をしていた時のこと。
隣りのテーブルに、20代前半と思しき女の子が3人座りました。
仕事帰りにお友達と夕ご飯を食べるのか、皆とても楽しそうです。

お店の給仕さんが注文を取りに来て、前菜や主菜に続き、飲み物を注文する段になりました。

給仕さん:「お飲み物は何になさいますか?」
女性客A:「私、ビール、ビールください」
女性客B:「私もビール」

最近フランスでは、若者のワイン離れが進んでいるのだとか。
古くて難しいイメージのワインよりも、新しくて軽いイメージのビールを好む若者が増えているのだそうです。

給仕さん:「そちらのお客様は?」
女性客C:「私はアルコールが飲めないから、コカ」

コカとは、フランス語でコーラのこと。
「スカッとさわやか!」の、あの清涼飲料です。

しかしその時、給仕さんの笑顔が一瞬だけ変ったのを、僕は見逃しませんでした。
僕も意識的に聞いていたわけではないのですが(ホント、ホント)、さすがにコカと聞いた時には驚いてしまいました。

「そうか…、このお料理にコーラを合わせるか…」と。

コーラと言えば、アメリカの代名詞とも言える飲み物。
ハンバーガーやフライドチキンなどのファーストフードや、屋外で楽しむバーベキューなど、どちらかと言えばダイナミックなお料理に合うように思います。

もちろん、食べ物や飲み物の好みは人それぞれですから、僕がとやかく言うことではありません。

しばらくして、給仕さんが彼女達のテーブルに飲み物を運んできました。
そしてコーラの瓶をテーブルに置きながら、ほんの少しだけ微笑み、

「はい、アメリカのワインです」

…と一言添えていました。アハハ。