475 理想の結婚相手はどこに

日本の3大珍味と言えば、うに(越前産)、このわた(三河産)、からすみ(長崎野母産)ですが、フランスにもからすみはあります。

先日、パリの老舗デパートで、フランス産のからすみを買ってみましたので、今日はそのお話をいたします。

からすみは、ギリシャやエジプトなど、地中海沿岸が発祥の地。
また現在は、フランスのほか、イタリアやスペインでも作られているそうです。

ところで、日本でからすみを食べる時には迷わず日本酒をいただきますが、フランスで食べる時にはどんなワインを選んだらよいのか考えてみました。

やはり、からすみが地中海沿岸の生まれですから、ワインも地中海沿岸のものを…。

そこで思いついたのが、地中海に浮かぶ島、コルシカ島のワイン。

コルシカ島には4つの主要なワインの産地があるそうですが、その中でも上質とされるのがパトリモニオ(Patrimonio)のワインです。

そこで、パリの街中にある酒屋さんに出かけ、パトリモニオのワインを買ってみました。
なお、本当はロゼワインが欲しかったのですが、今の時期はロゼワインの取り扱いはないとのこと…。
仕方なく、白ワインをいただきました。

そしていよいよ、地中海で生まれ育ったもの同士のマリアージュ(フランス語で結婚の意味。転じて、食べ物とワインの相性を言う)。

ところが、この2人、まったく合わない…。

からすみは、独特の香り(魚の卵の匂い)とコク(濃厚なうまみ)があって美味しい。
また、少しクニャッとするような、歯の先に少しくっつくような、何とも言えない歯ざわりもいい。

ちなみにこのからすみは、フランスにおけるからすみの老舗、メミ(MEMMI)社のもの。
デパートの食品売り場には同社のからすみが4種類並んでいましたが、その中から、見た目(色や艶など)が日本のからすみに近いものを選びました。

一方、パトリモニオの白も、ワインとしては本当に素晴らしいもの。
香り高く、味わい深い…。
酒の肴がなくても、ワインだけで飲めてしまうくらいの力強さがありました。

このワインは、コルシカ島で1番の造り手と称される、アントワーヌ アレナ(Antoine ARENA)さんの作。
彼の造るワインは、フランスの三ツ星レストランでひっぱりだこなのだかと。

それにしても、生まれや育ちが同じというだけでは、合わないこともあるのですね…。
それとも、地中海沿岸というくくり方が広すぎたのかな…。

フランスのからすみにどんなワインが合うのかは、今後の課題にしたいと思います(飲むための口実?)。

一方、パトリモニオの白ワインに合うものは、すぐに見つけることができました。
それは、たまたま自宅のテーブルの上にあったコルシカ島産のみかん(クレモンティーヌ:Clementine)。
小ぶりで甘いみかんを1房食べた後に、グラスを口に近づけるだけで(香りをかぐだけで)、この2人の相性の良さに気づきます。
そして、パトリモニオをひと口飲み、まぶたをそっと閉じたなら…「美しの島」と呼ばれるコルシカ島の風景や、降り注ぐ日の光が見えてきます。

なお、メミ社のからすみも、また、パトリモニオのワインも、日本でお買い求めいただくことができるようです。
皆さまも仲人になり、からすみとパトリモニオの結婚相手を探してみていただけませんでしょうか。

メミ社のからすみ
コルシカ島 パトリモニオ、アントワーヌ アレナ氏のワイン