474 時の流れを楽しむ島へ

年末年始に、フランスの西部、大西洋に浮かぶ島、イル ド レ(Ile de Re)に行ってきました。

イル ド レは、長さ約30キロ、幅は最も狭いところで70メートルしかないという、東西にとても細長い島です。

なお、以前からイル ド レと言えばお塩で有名なことは知っていましたが、出かける前にミシュランの地図を見てビックリ。
なぜならば、島の土地の3分の1くらいが塩田になっていたからです。

そのため、あたり一面がお塩で真っ白になった風景を想像して出かけたのですが、実際に島に渡ってみると、その大半は緑の大地。
また、塩田になっている所は、故郷新潟の田植え前の田んぼのような風景でした(すみません、わかりにくい表現で…)。

そして島のどこにいても、いつも視界の中に輝く海が見えるような、心地良い潮風を感じることができるような、そんな素敵な島でした。

ただしこの島には、観光名所と呼べるような所はありません…。
そのことは、日本の某ガイドブックにおいて、イル ド レがほとんど紹介されていないことからもお分かりいただけるものと思います。

しかしその代わりに、穏やかに流れる島独特の時間とか、小さくて素朴な海辺の村とか、のんびりと過ごすことができる保養施設などに恵まれています。
そう、1か月ものバカンスをとるフランス人達にはピッタリの、のんびりとした時の流れを楽しむための島なのだと思います。

なお、実際に行ってみて驚いたことが3つ…。

1つめは、ぶどう畑。

フランスの西の端、大西洋に浮かぶこんな島(失礼!)でもぶどうが栽培され、ワインが作られていることです。

滞在中、島で作られたワインを何本か飲みましたが、中でも素晴らしかったのが白ワイン。
とても安いお値段だったので、正直、安物の白ワインにありがちな味と香りを想像していたのですが、これが本当に美味しくて!

サッパリとした口当たりで、嫌な匂いも甘みもなく、喉にスーッと入ってくる感じでした(柑橘系の清涼飲料水みたい…)。

2つめに驚いたのは、牡蠣。

ある日の夕方、車でホテルへと戻る途中、道路脇にあった直売所で牡蠣を1ダース買い、ホテルの部屋で殻を剥いて食べることにしました。

ところが、結果的に殻を剥くことができたのは、たったの1個だけ…。
フランスに来て牡蠣の剥き方を覚えてからは、殻を開けられなかったことなど一度もなかったのですが、イル ド レの牡蠣はとにかく強情。
まったく口を開いてくれません…(大きくて力も強く、また、殻の縁の部分が上に向って反り返っているので刃先が入らない…)。

仕方なく大きなフライパンに水を張り、島で採れたお塩を少々加えてその上に牡蠣を並べ、火にかけてしばらく待ちました。
そして、あたりに美味しそうな匂いが立ち込める頃、パカッ!と口を開けた牡蠣から順に熱々のままいただきます。

これがもう~、すごく美味しい!
口の中を火傷しないように気をつけながら、プリプリとした大きな身を、口いっぱいに広がる潮の香とともに楽しみます。

3つめに驚いたのは、この白ワインと牡蠣との組み合わせ。

いままでにフランスの美味しいものをいろいろといただきましたが、この2つの組み合わせは本当に素晴らしいと思いました。

本来イル ド レは、夏のバカンスの時期に賑わう場所とのことですが、牡蠣が最も美味しくなるこの季節に訪れることができ、また、美味しい地酒にも出会うことができたことは、本当に幸運であったと思います。

なお、また機会がありましたら、この最高の組み合わせを楽しみに、イル ド レを訪ねてみたいと思います。

イル ド レの観光サイト
イル ド レのワイン
イル ド レの牡蠣