463 南仏プロヴァンスの夕べ

皆さまは、この夏をいかがお過ごしでしょうか。
ご旅行や帰省をなさっている方もいらっしゃるかも知れませんね。

昨年、一昨年と冷夏が続いたパリですが、今年はお天気が良く、また暑い日が続いていますので、夏を満喫しています。

さて、バカンスを過ごす場所として、フランス人にも、また外国人にも人気のある場所のひとつに、南仏プロヴァンスがあります。

青い空と、まぶしい日差し。
碧い海や、のどかな田園風景。
南仏独特のなまりと、人懐っこく陽気な人々。
そして、ゆっくり、のんびりと流れる時間…。

そんな、南仏プロヴァンスで過ごす夏休み。
夕方になり、少し涼しくなったら、テラスのテーブルを囲んで、家族や友人達との楽しい夕食が始まります。

そこで今日は、プロヴァンスの家庭で夏の夕方によく食べる、一般的なお料理をご紹介したいと思います。
そして、皆さまがこの夏にご家族やお友達とお食事をなさる時に、この中からどれか1つでも召し上がっていただけたら嬉しく思います。

●食前酒(アペリティフ:aperitif)
プロヴァンス地方のお酒、パスティス(pastis)をいただきます。
パスティスとは、マルセイユを中心としたプロヴァンス地方で作られるアルコール度数の高いお酒のこと。
アニスやハーブなど、独特の強い風味があります。
なお、パスティスそのものは琥珀色ですが、水で割った瞬間に白く濁ります。

パスティスとともに、黒オリーブの実をつまんだり、生のアーモンドの実を割って食べたり、バゲット(baguette:いわゆる普通のフランスパン)にニンニクをこすりつけてトーストしたものに、タプナード(tapenade:オリーブのペースト)やアンショア(anchois:カタクチイワシの塩蔵品、アンチョビ)で作ったベーストをつけていただきます。
チーズやアンショアを生地で包んで揚げたものも、美味しいおつまみになります。

そして、このパスティスやおつまみをいただきながら、のんびりとおしゃべりを楽しむのが、本当に幸せなひと時…。

●前菜(アントレ:entrer)
メロンをいただきます。
「南仏ではこの季節、メロンはデザートではなく、前菜にいただくのよ」と、マルセイエーズ(マルセイユ生まれのマルセイユ育ち)のリサさんが教えてくださいました。
旬のメロンはどこで買っても、まずハズレはないとのこと。
香りが良く、甘みも満点です。

●主菜(プラ:plat)
いわゆるプロヴァンス料理と呼ばれるものの多くは、家庭料理が基本。
有名シェフが作り出す繊細なフランス料理とは違った美味しさで、素朴な料理が中心です。

その特徴は…

  1. 夏野菜とバジルなどのハーブをふんだんに使う
  2. にんにくとオリーブオイルをたっぷりと使う
  3. 彩りが美しい

野菜を煮込んで作るラタトゥイユ(ratatouille)、野菜に豆類とバジルを加えて煮込むスープ オ ピストゥ(soupe au pistou)、トマトやパプリカに挽肉などを詰めて焼く野菜のファルシ(farce, farcie)などのお料理が特に有名です。
また、焼いたソーセージなどを添えるとボリュームも満点。

ちなみに、マルセイユにはブイヤベース(bouillabaisse:魚のごった煮)やスープ ド ポワッソン(soupe de poisson:魚のスープ)という有名なお料理があり、どちらも大変に美味しいのですが、一般家庭ではあまり作らないとのこと。
かつては漁師達が余った魚を使って作ったものだそうですが、現在では街中のレストランで観光客向けに出されるお料理なのだとか…。

●ワイン(ヴァン:vin)
暑い夏、南仏に1番よく似合うのは、やはりキリッと冷やしたロゼワイン。
また、白ワインも冷やしていただくと喉ごしが爽やかです。
なお、街中の酒屋さんやスーパーマーケットの売り場には、圧倒的に地酒のコート デュ ローヌ(Cotes du Rhone)やコート ド プロヴァンス(Cotes de Provence)などが多く並んでいます。

●チーズ(フロマージュ:fromage)
プロヴァンスでも、食事の後はチーズです。
日本食で言えばお漬物のような、口直しに必要な食べ物。
南仏で作られるものとしてはバノン(banon)というチーズがあり、なかなかクセの強い、通好みの味と香りがします。

●デザート(デセール:dessert)
マルセイユでは、すいかをいただきました。
とても大きくて形は楕円です。
味はとても甘く、美味しいすいかでした。

いかがでしたでしょうか。
皆さまも、南仏プロヴァンスの家庭料理とともに、どうぞ素晴らしい夏の夕べをお過ごしください。
ボン ソワレ(Bon Soiree:良い夕べを)!