421 おしゃべりの中から

南仏マルセイユに住むリサさん、ジュリエットさんのお家に泊めてもらっている間に、たくさんおしゃべりをしました。
大抵はご飯やお茶をしながら他愛もないことをしゃべっているのですが、その中から印象的だったことを2つご紹介したいと思います。

1. クリエイティブな仕事

裕子:「リサはもし漫画家じゃなかったら何になりたかった?」

リサ:「うーん(しばらく考えて)難しいなぁ。4歳の時から漫画家になりたかったからなぁ」

裕子:「すごいね!」

リサ:「でも、もし漫画家じゃなくてもクリエイティブな仕事がいい。例えば、グラフィックデザイナーとかかな?」

裕子:「クリエイティブな仕事って、やりたい人は世界中にたくさんいるけど、実際にそれだけで稼ぐのって難しいと思わない?」

リサ:「そうは思わないよ。「絶対やってやるんだ!」という強い意志があって、あきらめないで続けていればプロになれるんだよ。でも「あまり稼げないから…」ってあきらめたり、「あまり面白くないなぁ…」とか言って考えをコロコロ変えてみたりする人も周りには何人もいた。また「漫画家を目指しているので、作品を見てください」と言って私に批評を求める人も多いけど、厳しいことばかり言うとやめちゃう人もいるから、まずは良い所を探して誉めてあげるように気をつけてるんだ」

2. 競争が大変?

リサ:「日本の学校って、小さい頃から競争があって大変だって聞いたけど本当?」

ジュリエット:「私も本で読んだけど、幼稚園から私立の良いところに入らないと、将来良い仕事にも就けないんだって?」

裕子:「絶対ではないけれど、そういう風に言って(考えて)小さい頃から塾に行ってる子もいるみたい。人気のある幼稚園は入園の倍率が高かったり、申し込みの日は徹夜で並んだりするんだって」

リサ:「フランスは私立より公立の方がレベルも高いことが多いし、美術学校だって公立の方が、先生も、授業の内容も良いんだよ」

ジュリエット:「それに、フランスの学校では競争って感覚がアメリカや日本より少ないと思うな。例えば、美術を勉強したいと思って学校に入学する時も、一定のレベルに達するように勉強すればいいわけで、誰かと競争する必要はない」

裕子:「でも、グランゼコールって入るのが難しいんでしょう?」

ジュリエット:「それも入学前に1年しっかり勉強しなくちゃ難しいみたいだけど、幼稚園から塾に入るってことはないよ!」

リサ:「凪はどうするの? 私立の学校に行かせるの?」

裕子:「まだ、分からないけれど、私は公立の学校で十分だと思ってる」

ジュリエット:「日本の学校って、帰国子女が適応するのも大変なんでしょう? 勉強の内容も違うし、周りの子供たちから無視されたり、いじめられたりするって本に書いてあったよ…」

裕子:「確かに大変かもね…。日本はフランスみたいに外国人がたくさんはいないから…。少し変わっている子がいると風当たりが強いのかも…」

リサ:「凪が将来いじめられたりしなければいいね。裕子たちが日本に帰らなきゃいけなくなったら、ジュリエットがフランスで凪を預かってあげれば?」

ジュリエット:「それなら、私が凪と一緒に日本に行って、守ってあげるよ!」