418 いつか旅立つ日のために サン ジャン ド リュズ編
いつの日か、皆さまがフランスを旅される時に、訪ねていただきたい町や村、立ち寄っていただきたい場所やお店などをご紹介する「いつか旅立つ日のために」。
今回はフランスのバスク地方、大西洋に面した美しい港町、サンジャン ド リュズ(Saint Jean de Luz)をご紹介したいと思います。
この町も、過去にご紹介した他の町と同様、「何があるの?」と聞かれたら、「えっ…」と言葉につまってしまいます…。
その証拠に(?)、日本で発売されている某ガイドブックを見ても、1ページの半分、ほんの数行で紹介されているに過ぎません…。
しかし、その文章の最後に書いてある「散歩しているだけで楽しい」という一言は、的確にこの町の魅力を表していると思います。
大西洋に面し、美しい弧を描くように伸びる砂浜や、その脇に続く遊歩道を、潮風を感じながらゆっくりと歩く…。
もうそれだけで、この町の素晴らしさや心地良さを感じることができるのではないでしょうか。
ところで、このサン ジャン ド リュズをこよなく愛した有名人に、フランス印象派の作曲家、モーリス ラヴェル(Maurice RAVEL)がいます。
僕は、彼の「亡き王女のためパヴァーヌ」という曲が好きなのですが、まさにこの町のイメージにぴったり。
ちなみにパヴァーヌ(pavane)とは、16世紀から17世紀頃に作られた荘厳な舞踊の一種(スペインの宮廷舞曲)。
スペインとの国境に近いこの町に、ぴったりの雰囲気なのです。
また、サン ジャン ド リュズと言えば、お伝えしたいことがもう1つ。
それは、当店がご紹介しているバスク織りのエプロンやナプキンなどは、この町で織られているものなのです。
その品物自体も非常に美しいのですが、これがあの美しい町で織られているのかと思うと、ますます嬉しくなってしまいます。
雄大な大西洋から打ち寄せる波の音や、穏やかに吹く潮風、そしてそこに漂う潮の香までもが、あの生地の中に一緒に織り込まれているような気がします。
なお、サン ジャン ド リュズは、フランス南西地方の中心地ボルドー(Bordeaux)から、さらに南へ200キロ。
バイヨンヌ(Bayonne)やビアリッツ(Biarritz)の町よりも、さらに遠くにあります…。
まさに、フランスの端っこになるわけですが、バスク地方にお出かけの際には、是非、足を延ばしていただきたいと思います。
そして美しい海岸線をゆっくりと歩きながら、「亡き王女のためのパヴァーヌ」を口ずさんでみてください。
これで、完璧です。
●ラベル 亡き王女のためパヴァーヌ
●バスク織り(ティッサージュ ド リュズ:Tissage de Luz)
●サン ジャン ド リュズ 観光案内所
●サン ジャン ド リュズの観光案内