412 パリ、カルチェラタン

私達が住んでいるアパートは、パリの左岸、カルチェラタン(Quartier latin)と呼ばれる界隈にあります。
ここは、いくつもの高校や大学、図書館などが集まる文教地区。
その中でも、私達が住むパンテオン周辺は、ちょっとおしゃれな住宅街になっています。

今日は、そんなおしゃれな様子を少しだけご紹介いたしましょう。

1つめは、同じアパートに住む男の子について。

彼は、いつもピアノを弾いている20歳くらいの学生さん。
彼の部屋からは、いつもいつも美しいピアノの音が流れて来て、聞いていて心地良いのです。
僕の予想では(まだ挨拶しか交わしたことがないので…)、彼はどこかの音楽学校に通っていて、ご自宅でピアノの練習をしているのでしょう。
アパートの階段などで時々すれ違う彼の姿は、スラリッとして本当にカッコイイ。
まさに、貴公子という言葉がピッタリです。

2つめは、お隣りのアパートから聞こえてくるフルートの音。

どんな人が演奏しているのかは分かりませんが、この方も、ご自宅でフルートのお稽古をしているようです。
その音色といったら、本当に優美…。
ビゼーのアルルの女 第2組曲 3メヌエットのイメージそのもの…。
「きっと、スラリッとした長身に、きれいな長い髪の、美しい女性が吹いているに違いない…」と勝手に思い込んでいます。

3つめは、ご近所で行われているパーティー。

先日、お休みの日の前夜のこと。
ご近所のお宅でフェット(fete:パーティー、飲み会)が行われていました。
夜も更けて日付が変る頃になっても、賑やかで楽しそうな声が聞こえていました。
その時に聞こえて来たのは、有名なオペラの演目で歌われる曲。
恐らく、フェットに招かれたお客さんの中にオペラ歌手をしている方か、その種の歌を習っている方がいらっしゃったのでしょう。
これまた、本当に素晴らしい歌声でした。

それに比べて我が家には、楽器を演奏する人も、歌を歌う人もおらず…。
我が家から他のお宅に聞こえているのは、大声で泣く凪さんの声くらい…。

ビゼーのアルルの女 第2組曲 3メヌエット