410 美味しいパリの秋を愉しむ

僕は時々、日記やコラムの中で、「思い立ったが吉日! これからパリにいらっしゃいませんか?」なんて書くことがあります。

しかし、実際にパリにお出かけになる方々のお話を伺うと、半年、いや、1年も前から計画をお立てになる方もいらっしゃいます(反対に、明日からパリに行くことにしました~!とか、来ちゃった~!なんていうメールを突然くださる方もいらっしゃいますが…)。

なお、パリを訪れる目的は人それぞれであるように思いますが、世界で2番めの美食の街に(1番の座は昨年の秋に東京にお譲りしましたので…)、美味しいものを求めていらっしゃる方は、そろそろ旅の準備をお始めください。

なぜならば、日本同様ここフランスでも、1年で1番食べ物が美味しくなるのは秋だからです。

もちろん、春には春の、夏には夏の美味しさがありますが、私達日本人が思い描くようなフランス料理について言えば、秋が最も美味しい季節なのでしょう。

その理由は、フランス料理の中で最も重要な食材の1つと言われるトリュフが旬を迎えること。
その他にも、料理の付け合せやソースとしても用いられる、きのこが採れる時期だからです。

さらに、食材としてのお肉やお魚も美味しい時期となり、とりわけジビエ(gibier)と呼ばれる野禽類が食べられるようになるのもこの頃です。

また、お料理とは切っても切れない関係にあるワインも然り。
単にワインだけを飲むわけではなく、お料理との相性を楽しむものであればこそ、やはりこの時期が1番なのです。

そして「せっかくパリに行くのだから、できれば有名なレストランで、本物のフランス料理を味わってみたい…」とお考えの方は尚更です。
高価なレストランのお料理なんて頻繁に食べることができるものではありませんし、もしかしたら、一生に1度のことかも知れません。
もしそうなら、1年中で最も美味しい時期にいただいてみたいもの。

さらに、世界に名立たるレストランの中には、1か月先、2か月先まで予約がいっぱいというところもあるからです。

春が終わり、これから夏を迎えようとしている今ですが、もし、「秋に、パリで、美味しいものを…」とお考えの方は、そろそろ旅のご準備をなさってはいかがでしょうか。