405 日本はお金の国?

前回のコラムにも登場したジェニフェちゃん。
以前、私達が住んでいたアパートの管理人さんのお嬢様です。

当時8歳か9歳だったジェニフェちゃんは、まったく人見知りをせず、おませで活発な女の子。
言葉もほとんど通じない私達でしたが、とても仲良くしてくれました。

先日、娘の凪を連れて挨拶に行った時のこと。
12歳になったジェニフェちゃんと久しぶりに再会。
またそれ以来、ジェニフェちゃんが凪のことを妹のように可愛がってくれるので、ちょくちょく遊びに行くようになりました。

そんなある日、彼女にこんな質問をされました。

「ユコ(裕子)は中国人? それとも日本人?」

私としてはかなり仲良くなっていたつもりでいたので、中国人?と聞かれてちょっとビックリ。

「日本人だよ」

…と答えると…

「じゃあ、ケイタホー(桂太郎)は? ナギ(凪)は?」

…と聞かれました。

12歳の女の子にとって、日本はまだまだ遠い国。
「日本人だよ」と答えた数分後には、凪を抱っこしながら「中国人の赤ちゃんて可愛い~」と言っていましたから…。

また、ジェニフェちゃんは、通学用の鞄から社会科の教科書を取り出して、何かを調べ始めました。
そして…

「日本はアジアにあるの?」
「ヨーロッパがここだとするとアジアはこっち?」(飲んでいたお茶のマグカップを使って位置関係の確認)

さらに、教科書の中の日本について書かれたページを開いて…

「ユコ、これ知ってる?」

…と、1枚の写真を指差しました。
それは、東京証券取引所の写真。
フランスの子供向けの教科書の中で、日本の様子を伝える写真として、この1枚が選ばれていたのです。
それを見て、「日本はお金の国、経済の国」なのだと言われているようで、ちょっぴり複雑な気持ち…。

ちなみに、中国について書かれたページには、漢字で書かれたたくさんの看板が雑然と並ぶ、街の様子を写した写真が載っていました。

そしてジェニフェちゃんは…

「この文字は日本人も使うの?」

…と聞きました。

「この中の一部は私も分かるよ。でも日本語では違う文字も使うんだよ」

…と伝え、ジェニフェ、カルメン、ジョゼと、ジェニフェちゃんの家族の名前をカタカナで書いてあげました。

なお、よほど日本贔屓(ひいき)な人でない限り、大人のフランス人であっても、日本に対する知識や認識は、ジェニフェちゃんとあまり変わらないかも知れません。
またそう思うと、日本をより良く知ってもらうためには、その国の子供達に知ってもらうことが大切だなぁ~とあらためて思いました。