402 パリ 夕暮れのお散歩

今日のパリは暖かい。
夕方、娘(凪さん)を抱っこしてお散歩へ。

パンテオンの裏、サン テティエンヌ デュ モン教会の坂を下ってサン ジェルマン大通りを横切り、セーヌの河岸へ。

最近は日暮れの時刻が夜9時近いので、この時間でも空は十分に明るい。
また、今日は午後から良いお天気になったので、セーヌの河岸にはたくさんの人たちが繰り出していた。
そして、皆、思い思いに夕暮れまでのひと時を楽しんでいる。

レストラン トゥール ダルジャン(La Tour d'argent)の手前で河岸の遊歩道へと降り、セーヌの流れに沿って歩く。
お散歩を楽しむ老夫婦や子供連れの家族、ジョギングを楽しむ人に犬と一緒に歩く人など、本当に平和な光景。

シテ島にあるノートルダム寺院の脇まで来た時、その傍らに立つ桜の木から、はらはらと花びらが散るのを見た。
「今年の春も、お花見をする時間はなかったな~」と思うとともに、美しい桜の花が咲く日本の春の風景を、少しだけ懐かしく想った。

河岸に沿って走る道路へと階段を上がり、そのまま通りを横切って小径へと入る。
そして、プチホテルや雑貨屋さんの並びを抜けると、モベール ミュチュアリテの広場へと出た。

午後8時を少し回った今、広場に面した八百屋さんや魚屋さんは、すでに閉まっていた。
しかし、それとは対照的に、カフェやレストランはたくさんの人たちで賑わっている。
お店の外に向って張り出したテーブル席はどこも満席で、皆、楽しそうにワインを飲んでいる。

その前を通り過ぎ、広場から少し離れたところにある小さな酒屋さんへと、私達は向った。
そして、木箱の中にぎっしりと詰められた売り出し中のワインや、棚いっぱいに並べられたワインを1本1本念入りに見ていく。

今日の1本は、フランス南部、コート デュ ローヌ地方(Cotes du Rhone)、サブレ村(Sablet)の赤ワイン。

数年前、相方(水野)といっしょに南仏プロヴァンスを旅した時、ぶどう畑の中にポッカリと浮かぶ小島のようなこの村の、小さな教会の脇にある芝生の上にひっくり返って昼寝をしたことを思い出す。

「さて、美味しそうなワインも買ったし、そろそろ帰ろうか?」と、パンテオンの坂をゆっくりと登り始める。
坂の両脇にもたくさんのカフェやレストランがあるが、どこも大盛況。
どのテーブルを見ても、皆、美味しそうにワインを飲んでいる。

近年、フランスにおけるワインの消費量は減少傾向にあると聞くが、この光景を見る限り、そんなふうには思わない。
この瞬間にも、フランス全土で一体何本のワインの栓が開けられていることか。
あちらからも、こちらからも、「ポンッ!」という心地よい音が聞こえて来そうだ。
ここ、パリのカルチェラタンにあるレストランでも、また、アルザス地方の小さな村にあるヴィンステュブ(winstub:郷土料理や地酒を楽しむことができる居酒屋)でも、さらには、潮の香漂うコートダジュール(Cote d'Azur)の海辺のレストランでも…。

さて、僕らも早く家に帰ろう。
そして、南仏の太陽の光をいっぱいに浴びた、この1本を楽しもう!

南仏プロヴァンス サブレの村