353 フォークとリュックサック

僕が好んで見ているテレビ番組に、フォークとリュックサック(Fourchette et sac a dos)があります。

料理評論家であり、コラムニストでもあるジュリー アンドリュー(Julie ANDRIEU)さんが、その国の食文化を求めてメキシコやモロッコ、インド、ギリシャ、仏領ポリネシアを旅する番組です。

各地の美味しいものを食べ歩いたり、旅先でその土地の名物を紹介するような番組なら、昔も今もたくさんありました。
有名な俳優さんが各地に出かけてその土地の名物を食べたり、美しい女優さんが世界を旅して、有名なレストランの豪華なお料理を紹介するような番組です。

しかし、フォークとリュックサックというタイトルからもお分かりいただけますように、ジュリーさんの旅は、もっともっと私達に身近な感じ。
まさに、片手にフォークを持ち、背中にリュックサックを背負って旅に出るような親しみやすさがあります。
そして、旅先では、その土地の人々によって生み出され、共有され、そして伝えられている食べ物を通じて、人々の生活までをありのままに見せてくれます。

また、この番組で面白いのはジュリーさんのお人柄。
そこに生きる人たちの懐に彼女がポンッ!と飛び込んで、あっと言う間に溶け込んでいく様子…。
これは本当に凄い。
食べるということを通じて人種や言葉の違いをあっさり越えることのできる、彼女の持つ才能なのだと思います。
まったく気取った様子もなく、また、変に気負った感じもしない、自然体な彼女の姿が魅力です。
(美味しいものは本当に美味しそうに、また、まずいものは本当にまずそうなお顔をするところも!)

さらに、単に食べるだけでなく、地元の人たちと一緒に市場に買い物に出かけたり、森深くに分け入って食べ物を探したり、長靴を履いて沼に食材(かえる)を採りに行ったりと、食材を集めることや、捕ってきた獲物をさばくこと、そして、煮たり焼いたりする過程にも彼女自身が関わっています。

なお日本のテレビ番組に例えるならば、「世界ウルルン滞在記」と「くいしん坊!万歳」とを足して2で割ったような感じ(?)。
フランス語が解らない僕にも、とても親しみやすい番組です。

フォークとリュックサック(Fourchette et sac a dos)
ジュリー アンドリュー(Julie ANDRIEU)