336 あなたなら、どうする?
近所にある冷凍食品専用のスーパーマーケットで、1週間分の食料をかごに入れ、レジでお金を払おうとした時のこと。
このスーパーマーケットは他のお店とは異なり、レジはいつも空いていて、長い列ができていることはほとんどありません。
そして、この日も、私の前には誰も並んではいませんでした。
ところが、私がかごの中のものをレジ台の上に移そうとしたその時、1人のマダムがやって来て、私にこう言いました。
「私は買うものが2個しかないから、先にお会計をさせてもらってもいいでしょ?」
一瞬、自分の中で天使と悪魔がささやいて、戸惑ってしまう私…。
天使:「いいじゃない、別に急いでいるわけじゃないんだから、譲ってあげれば?」
悪魔:「いやいや、順番は守らなきゃダメ。横入りなんてズルいよ」
結局、彼女に先を譲った私ですが、やはり後味は良くありません…。
フランスでは、妊婦さんやお年寄り、障害者の方に順番を譲ることは一般的ですが、あきらかにそうとは思えない人だったからです。
パリに来て以来、こういうことはいままでにも4~5回あったでしょうか…。
ある時は長~い列ができているスーパーマーケットのレジで、またある時はなかなか進まない郵便局の窓口で、そしてある時は皆んなが急いでいるメトロ(地下鉄)の切符売り場で…と。
場合によっては「あなたも列に並ぶべきです」と断ったこともありますが、この種のことは何度経験しても、相手の考え方と、自分が考えるマナーとのギャップに、カルチャーショックを受けてしまいます。
東京で暮らしていた頃に比べて、パリでは知らない人から優しくされて涙が出るほど嬉しい思いをすることも多い反面、歯ぎしりをするほど悔しい思いをすることも結構あるのです…。