320 やわらかい国、かたい国
電車やバスに乗る時、日本ならホームやバス停などにひかれた線に沿ってきちんと並び、そして、電車やバスが来たら順序良く乗り降りすると思います。
一方、ここフランスではホームやバス停などに線はひかれておらず、皆、思い思いの場所に立ち、そして、電車やバスが来たらゾロゾロと乗降口の周りに集まって乗り込みます。
しかし、不思議なのは、その時に人々が混乱しないこと。
我れ先にと乗り込んだり、車内を小走りして席を取るような姿は見かけないことです。
それどころか、車内が混雑していると、乗り込むことをあっさりとあきらめて、「もう、乗れないわ…」という表情とともに次の電車やバスを待つ姿も…。
日本人の僕からすれば、「えっ! もう乗らないんですか? 詰めたらまだまだ乗れますよ」と驚いたり、「もし、ここが東京だったら、いつまでたっても乗れませんよ」なんて思ったり。
フランスの人達は、どうしてこんなふうに振舞うことができるのでしょうか?
電車やバスの運行が不安定で、次はいつ来るのか分からないような状況なのに…。
この国の人達が、こんな考え方や振る舞い方をすることができるおおもとがどこにあるのかを、いつの日か知りたいと思う今日この頃です。