318 違いを理解し、受け入れて
フランスに住んでいると、自分の思い通りにならないことが、たくさんあります。
ここで言う自分の思い通りにならないこととは、さまざまな事に対して自分が持っている価値観だったり、自分が期待しているサービス レベルだったりに、そぐわないという意味です。
役所への手続きに何度も何度も足を運ばなくてはならなかったり、山のような書類を用意しなければならなかったり、窓口で長い時間待たされたり…。
取引先に注文した品物がなかなか届かなかったり、注文したものとは異なる色や形のものが届いたり、その品物に傷や汚れがあったり…。
街中でデモ行進が行われて道路が封鎖されたり、乗っていたバスを途中で降ろされたり、その後のバスが運休になったり…。
銀行で自分のお金をおろすことができなかったり、その理由がすぐには判らなかったり、担当者によって言うことが違ったり…。
そして、このような状況に直面するたびに、怒りを覚えることがあります。
怒りとは、何らかの不平や不満に関する感情的な反応であり、自分が持つ欲求を妨げられた場合に起こるとされています。
しかしこれは、自分の思い通りにならないとか、自分の欲求を妨げられたという、あくまでも自分を中心に置いた考え方であり、また、あまりにも自分を中心に置くからこそ、このような感情を抱くのだとか…。
確かに、そう言われれば、日本において身につけた価値観や、日本において当たり前のサービス レベルという「ものさし」で、フランスでの出来事を測ろうとするから、このような感情を抱くのかも知れません。
僕は、世界の国々の事情をよく知りませんが、今日の日本において当たり前とされている価値観やサービス レベルは、世界的に見たら本当に素晴らしいこと、稀なことなのだと思います。