310 季節は巡る

最近、パリの街を歩いていて、ふと、思うことがあります。
それは、少しずつではあるけれど、この街を好きになっていること。
そしてまた、そんなふうに感じている自分に驚いています。

もともと僕は、フランスが好きだったわけではありません。
また、パリの街に憧れていたわけでもありません。

ただ、「会社を辞めて、何かをやってみよう!」、「フルールドクールというお店を始めてみよう!」と思った結果として、フランス、パリに行くことに決めたのです。

しかし、そこには深い考えがあったわけではなく、また、十分な知識や伝(つて:自分の希望や目的を実現させるためのてがかり)があったわけでもありません。

本当なら、アメリカのニューヨークでも、イタリアのローマでも、イギリスのロンドンでも良かったのかも知れません。
ただ、「ファッションや雑貨と言えばフランスのパリ」という固定観念から、この街を選んだに過ぎません。

そして、あれから3年…。

フランスに会社を作ること、ビザや滞在許可を得ること、商品の仕入先を探すこと、ホームページを作ってその存在を皆さんに知っていただくこと、海外への引越し、住む場所の確保、インターネットの回線を引くこと、税金や保険を払うこと、外国送金の手段を整えたり、お金や小切手のやり繰りを行うこと、従業員さんを採用したり、お給料や社会保険を払うこと、月末や年度末の会計処理を行うこと、そして、それらすべてに付いてまわる言葉の問題や習慣の違いなど…。

本当に、目の廻るような状況(いいえ、ドタバタ劇と言った方が、より現実の姿に合っていると思います…)の中で、春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来て…。

そして、それらの季節が、もう3度も巡ったなんて…。

本当に、あっと言う間でした。
自分でも、信じられません…。

そしてその中で、フランスという国やパリという街を、少しずつ好きになっている自分に気付いています。
さらに、いままで以上に日本という国が好きになり、本当に素晴らしい国であるとも感じています。

ただし、「何で?」とか、「どこが?」と聞かれたら、上手にお答えすることはできないのですが、もう少し時間をかけてそのことを整理し、いつの日かお伝えすることが出来たらよいと思っています。