308 フランス語の俳句

先日、フランス人の俳人に出会いました。
フランス俳句協会の会長、ドミニク シポ(Dominique CHIPOT)さんです。

彼の職業は会計士ですが、6年前に夏目漱石の「草枕」を読んで俳句の存在を知り、自分でもフランス語で俳句を詠むようになり、ついにはフランス俳句協会を立ち上げたのだそうです。
そして現在では、インターネットを通じて俳句を交換しあう会員が約200人もいらっしゃるとのこと。

子供の頃は写真家になりたかったというドミニクさんは、自分で撮った写真と自分で詠んだ俳句を組み合わせた「フォト俳句」に積極的に取り組んでいます。

「会計士という堅い仕事をしてはいるけれど、創造的な活動である写真や俳句は心に自由を与えてくれる存在なのだ」

…とドミニクさんはおっしゃっていました。

さて、フランス語の俳句とはどのようなものなのか、ドミニクさんの作品を一句、ご紹介いたしましょう。

neige fraiche
l'enfant
empreinte d'un ange

  Dominique CHIPOT

新雪に子供が残した跡を読んだ句。
雪のように白く、純粋な心を持つ子供を天使に重ね合わせた世界観は、国境や言葉の壁を越えて共有することができます。

日本語の俳句のように五七五とはいきませんが、基本的には3行の短いフレーズ。
また、この句の場合、季語はneige(雪)。

フランスは日本と同様、四季のある国ですから、俳句が詠まれるのも自然なことのように思えてきます。