303 ノーコメント

フランスのテレビで、早朝に放送されているニュース番組の中に、ノーコメントというコーナーがあります。

文字通り、ニュースキャスターやアナウンサーによる説明は一切なく、ただ、世界のあちらこちらで起こった出来事を、現場の映像と音のみで伝えるコーナーです。

ある時は、某国における銃撃戦の様子だったり、またある時は、爆弾テロの現場だったりと、激動する世界の様子を映し出しています。

ただし、これらの映像はカメラマンによって切り取られた風景の一部であり、また、放送前に編集されたものでしょうから、まったく人の手が加わっていないという訳ではありません。

しかし、ニュースキャスターやアナウンサーの言葉によって、物事の捉え方や考え方を左右されることなく、映し出された映像と音をそのままに受け止めることができます。

フランスのように、たくさんの人種やさまざまな社会的境遇に置かれた人々が混在する社会においては、1つの出来事であっても、いろいろな捉え方があるのでしょう。

そのため、事実としての映像と音のみを視聴者に伝えることにより、「おのおのが、そこから何かを感じ取ってほしい…」ということなのかも知れません。

たった数分間の短いコーナーなのですが、早朝の、この静かな数分間が、私にとってはとても新鮮です。

なお、先日、このコーナーで日本の出来事も紹介されました。それは、東京の明治神宮で行われた年初の奉納相撲の様子。
しこを踏む3人の力士を大勢の観客が取り囲み、「よいしょ!」という掛け声をかけている場面でした。

フランスの人たちは、この映像をどんなふうに受け止めたのかな~。