295 雪だより

先日、新潟の実家に電話をかけたら、「あたりの山も白くなってきたよ…」との話がありました。
僕の生まれ故郷はその三方を山に囲まれ、周囲にある高い山から順に白い雪をかぶっていきます。
そして徐々に、里にも雪が降りてくるのです。
その光景はとても美しく、また、何とも言えない情緒があります。

一方、パリには山がないので、山に積もった雪を見て、冬の訪れを感じることはできません。

ところが先日、パリのチュイルリー公園の脇にある有名なサロン ド テ「アンジェリーナ」の前を通りかかった時、ふと、冬の訪れを感じました。
それは、アンジェリーナの代名詞である、お菓子のモンブラン。

このモンブランという言葉は、フランス語で白い山(mont blanc)という意味。
文字通り、雪を頂いた山のイメージなのでしょう。

また、夏の暑い頃には食べたいとは思わなかったモンブランですが、冬が近づき、寒くなってくると、不思議とあの甘さが恋しくなります。

ただし、アンジェリーナのモンブランはとっても甘いので、人によって好き嫌いが分かれるところ…。
ちなみに、僕は甘党ですが、いまだかつてアンジェリーナのモンブランを1度に1個食べられたことはありません(甘過ぎて、いつも半分残してしまいます)。

また、パリには行列のできるお店は少ないけれど、アンジェリーナの前にはいつも長蛇の列が…。
ただし、皆さんが待っているのは、サロン ド テの中の空席。

「パリに来たんだから、アンジェリーナのモンブランを食べてみたい…。でも、長い時間並ぶゆとりはない…」

…とおっしゃる方は、モンブランを店頭でお買い求めになり、お持ち帰りになることをおすすめします。
そして、お店の前にあるチュイルリー公園や、ホテルのお部屋にお戻りになってから、ゆっくりとお召し上がりください。