292 カフェの特等席

フランス、パリのカフェと言えば、皆さまはどんな風景をご想像なさいますか。

お店の前、歩道の上のテラス席に並べられたテーブルと椅子…。
そこに座りながら楽しくおしゃべりをしたり、新聞や本を読んだりする人々…。

テーブルの上には、白い小さなカップに入った濃いコーヒー(日本でいうエスプレッソ)や、美しい緑色の瓶のペリエ(発泡性のミネラルウォーター)が置かれています。

そして、その間を忙しそうに行き来する給仕さんの姿…。

どうですか? パリのカフェの様子が、目に浮かびましたでしょうか?

ところで、東京にいた頃、パリのカフェをそっくり真似たお店が、原宿や表参道あたりにありました。
またその中には、パリの支店として出店していたところもあったように思います。
当時は入ってみたい気持ちもありながら、とてもハイカラ(死語?)な感じで、ちょっとためらったりして…。
さらには、歩道に面したテーブル席に座るなんて、道往く人に見られそうな気がして、恥ずかしくて出来ませんでした…。

ところが、ここパリでカフェに入る時には、それが一転…。
1番座りやすいのは、お店の前に並べられたテーブル席になります。
空いている席を見つけたら、歩道からそのままそこに座るだけ。
しばらくすれば、給仕さんが注文を取りに来てくださり、そして、注文したものが運ばれてきたら、お代をテーブルの上に置くだけです。
またここでは、道往く人の視線も気になりません(というよりも、道往く人の方がまったく気にしていません)。

反対に、1番近寄りがたい、いいえ、僕にとっての1番の憧れの場所は、お店の奥にあるカウンターです。
ここには椅子もなく、いわゆる立ち飲みになるのですが、ここでお店の方と気さくに挨拶を交わしたり、楽しそうにお話をしながらコーヒーを飲んでみたいと、いつも思うのです。

そしていつの日か…

「おっ、ムッシュ アベ。いらっしゃい、元気?」

…なんて、お店の方や常連さんに言ってもらいたいな~と。

やはりそのためには、もっともっとフランス語に磨きをかけなければなりません…。
う~ん、ハードル高し…。