287 ポットのワイン

先日、日頃からお世話になっている取引先の方々に、ボージョレヌーボーを配って廻った時のこと。

「はい、これ、プレゼントです!」

…とワインを渡したら…

「わ~っ、ありがとう!」

…というお礼の他に…

「おっ、リヨンのポット(pot lyonnais)だね!」

…というお言葉が返ってきました。

「リヨンのポット? 何ですか、それ?」

ワインの瓶といえば750ml入りが一般的ですが、僕がプレゼントしたのは約500ml入りの少し小さな瓶に入ったワイン。
この、ちょっと細身の小さな瓶のことを、リヨンのポットと呼ぶのだそうです。
そしてこの瓶が、フランスのカフェなどで食事をする時に、テーブルに出されるお水の入った瓶の原型になっているのだとか。
現在では単にポットと呼ぶそうですが、もともとはリヨンのポットと呼んでいたようです。

ところで…

「どうして、リヨンなんですか?」

…と訊ねたら…

「えっ? それは…、もともとリヨンの辺りで作られていたからじゃないかな…?」

…とのお返事。
ボージョレヌーボーが、まさにこの地方(ブルゴーニュ地方、リヨン近郊)のワインですから、リヨンのポットに入っているのも合点がいきます。

ところで、フランス語では瓶(bouteille)に入ったワイン(vin)のことを、ユンヌ ブテイユ デュ ヴァン(une bouteille du vin)と言いますが、ポット ド ヴァン(pot de vin)と言うと、いわゆる賄賂とか袖の下という意味に…。
今回、取引先の皆さんにポットに入ったワインをプレゼントしたのは、別に深い意味があったわけではありませんので、念のため…。

リヨンのポット(pot lyonnais)