270 夕げの音

「トントントントン…」と、まな板の上で何かを切る音が聞こえてくると、「おっ、もうすぐご飯の時間だな?」と思います。
なお、ここパリには、「おっ、ご飯の時間だな?」と思わせる音がもう1つあります。

それは、ワインの栓を抜く「ポンッ!」という音。
年々ワインの消費量が減ってきていると言われるフランスですが、それでも食事の時にワインを召し上がるご家庭は、まだまだあるようです。
夕方、同じアパートの他のお部屋から、「ポンッ!」という心地良い音が聞こえてくるたびに、「ああ~、フランスらしいな~」と思います。

また時には、シャンパンの栓を開ける「ポンッ!!」(感嘆符を2つにしてみました…)という威勢のいい音が聞こえてくることも。
フランスでも、シャンパンは特別な日の飲み物。
誰かのお誕生日とか、何かおめでたいことがあった日とか、お客様をお迎えした時などに開けることが多いようです。

そして、「ポンッ!!」という音に続いて、お誕生日をお祝いする歌(ハッピーバースデー トウ ユ~という、あのお馴染みの歌です。ただし歌詞はフランス語ですが)が聞こえてきたり、歓声があがったり。
自分が同じテーブルに着いているわけでもないのに、何だかちょっと楽しい気分。

「トントントントン…」という音も、また「ポンッ!」や「ポンッ!!」という音も、心弾む、幸せの音。
今夜あたり、皆さまのご家庭でも「トントントントン…」に「ポンッ!」はいかがでしょうか? どうぞ、楽しい食卓を! ボナペティ!