260 バカンス 70年
先日、テレビをつけてみると「ETE 36, LES PREMIERES VACANCES DES FRANCAIS(フランス人の初めての夏休み 1936年の夏)」というタイトルの番組をやっていました。
今でこそ「バカンスのために働くフランス人」というイメージが強いフランス国民ですが、この長いバカンスの始まりは1936年だったと言うのです。
私は、もっと古くからの習慣なのだと思っていたので少し驚きました。
その番組の内容をご紹介すると、1936年にフランスで初めて有給休暇制度(2週間)が施行されたのだとか。
その後、戦争の時期は例外ですが、政権が変わるたびに有給休暇の日数が増加。
そして、ミッテラン大統領の政権下で、現在と同じ5週間の有給休暇が認められるようになったのだそうです。
この有給休暇を使って1936年当時、多くの人々が目指したのは海辺。
それまでは上流階級の特権であった海辺で過ごす夏休み。
人々は、どんなに嬉しかったことでしょう。
また、当時創刊されたばかりの婦人雑誌 マリ クレール(marie claire)では、それまでと一転、こんがり焼けた肌こそがおしゃれで健康的と特集を組み、多くの婦人方のライフスタイル、ファッションを変化させることに影響を与えたのだとか。
さらに、若者たちの間ではペアルックで2人漕ぎの自転車(2台分の自転車が連なっているタンデム車)に乗って旅行するのが大流行。
「海」、「こんがり焼けた肌」、「自転車を車に積んでの家族旅行」という現代のフランス人のバカンスに欠かせないキーワードは、まさに1936年のバカンスから来ているように思いませんか?
そして、70年以上もの間バカンスのスタイルが変わらないなんて、これもフランス人の国民性(?)と、少し驚きました。
ところで、番組の中で1936年に1人の男性が勤め先の社長に送ったとされる絵葉書が紹介されました。
「社長、お陰さまで家族とともに海を見ることができました。この人生への贈り物に感謝いたします」
働ける喜び、休める喜び、ささやかな暮らしの中でも感謝の気持ちを持つことの大切さ、贅沢なことに慣れてしまいつつある現代で、忘れてはいけないことも教えられたような気がしました。