228 思いもよらない

先日、南フランスに行った時のこと。
レンタカーを借りて、一日中、小さな町や村を巡り、夕方、アルル(Arles)の町に戻って来ました。

本当ならば、連泊しているホテルの近くに車を停めたかったのですが、あいにく、アルルでは名物の闘牛が開催されていて、小さな町は大賑わい。
町の中心部への車の乗り入れが制限されていたり、一部の道路が閉鎖されていたりして、日本で言う歩行者天国のようになっていたのです。

しかたなく、ホテルから徒歩10分くらいのところにある公営の駐車場に車を停めました。
この辺りは広い道路の両側が駐車場になっていて、すでにたくさんの車が停められていました。
その中に、一晩車を停めるためのスペースを見つけ、そこから歩いてホテルへと戻りました。

翌朝、ホテルをチェック アウトして、大きなトランクをゴロゴロと引きながら、昨日車を停めた駐車場まで歩いて来たら、辺りの様子が一変…。
なんと、マルシェ(朝市)の会場になっていたのです!
たくさんの露店が並ぶその中に、私達の車がポツンと…。

「えっ! 何で? だってここ駐車場でしょ? それに、あんなにたくさん停まっていた車は一体どこに…?」

アルルの町では、毎週土曜日の朝にマルシェ(朝市)が開かれると伺ってはいたのですが、まさかこの駐車場が会場になろうとは…。
私達が車に近づくと、そこにお店を開くはずだった花屋のお兄さんが話しかけて来ました。
いくら知らなかったこととは言え、彼の商売の邪魔をしてしまったのですから、叱られることも覚悟しなければなりません。

ところが、「ごめんなさい…」と言う私に対して、彼はニヤニヤ…。
どうやら、車を停めたのがよそ者(この町の人間ではない)であることが分かっていたようです。
そして…

「俺はいいけどさ、さっき警官が来て、駐車違反のキップを切っていったよ、ほら」

見ると、車のワイパーのところにキップが挟んでありました。
罰金は35ユーロ(約5,000円)。
町中にあるタバコ屋さんで、日本で言う収入印紙を買い、キップに貼って警察に送らなければなりません…。

車をレッカー移動されなかっただけ助かったけれど、フランスでは町の駐車場が翌朝にはマルシェ(朝市)に変わってしまうなんてことも考えなければならないのですね…。
これもまた勉強。