207 同姓? それとも同棲?
以前、パリのお役所で書類を書いた時、驚いたことがありました。
それは、名前の書き方。
「結婚していても、旧姓で書いてください」
…と言われたことです(すべての書類を旧姓で書くという意味ではありませんので、念のため…)。
さらに驚いたのは…
「ご両親の名前も旧姓で」
…と言われたこと。
さすがにこれは日本でも馴染みがなく、母の名前を旧姓で書く時には違和感すら覚えました。
なぜ旧姓なのかその理由については伺いませんでしたが、私の想像では、結婚ということに関するフランスの事情もあるのかな?と思いました。
なぜならば、フランスでは恋人同士が籍を入れずに一緒に生活することが多く(私の周りにも何組か…)、また、PACS(Pacte Civil de Solidarite:民事連帯契約)もあって、籍を入れなくても結婚に準じた法的権利を認めてもらうことができるため、その後も入籍しないまま生活を続けていく場合があるからです。
日本では、同棲というとどこか後ろめたいような、世間体を気にしなければならないような感もありますが、フランスは随分と感覚が異なるようです。
本人達はもちろん、双方のご両親や親戚、知人や友人、アパートの大家さんやご近所の方々、そして社会の仕組みまでもが、了承しているようです。
結婚の実態とは毎日の共同生活のことですから、あえて同姓にしなくとも、同棲でも良いのかも知れませんね。
●PACS(Pacte Civil de Solidarite:民事連帯契約)