203 有名人であろうとも

今週の水曜日、目覚まし代わりにタイマーを設定してあるFMラジオから流れてきた朝のニュースで、「別居中だったサルコジ内相のもとに、妻のセシリアさんが戻って来たようです」というのがありました。

実は、サルコジ家の夫人が夫の部下と駆け落ちするかのように、8か月前から家を出ていたのです。
別居解消の理由は「両親の別居に胸を痛めた長男を思ってのこと」とされていました…。
このスキャンダル、どんな騒ぎを巻き起こすのかと思えば、サルコジ内相と夫人のツーショット写真が表紙になった新聞を見かけた程度。
ちなみに、このサルコジ内相、彼の発言が、昨年パリ郊外やフランス各地で起きた暴動の一因になったとも言われた人物です。
同時に彼は、来年行われる大統領選挙の有力候補の1人でもあり、フランス人たちはこの別居解消ニュースも選挙に向けてのイメージアップのためと見ているようです。

しかし、夫の部下と駆け落ちした夫人は果たして国を代表するファースト レディになれるのでしょうか?
国際的に見ると疑問の声も上がってきそうですが、公人のプライベートをはじめ、他人の生き方にあまりケチをつけないフランス人。
日本やアメリカでなら命取りになりかねないゴシップも、アッとい間に消えていく、いやむしろ、周知の事実となっていくだけのことようです。

現パリ市長のドラノエ氏がゲイであることが公になった時も同様でした。
また、今年没後10年を迎えた前ミッテラン大統領の隠し子は、フランス人なら誰もが知っている人物。
小説家として有名な彼女は、前大統領と過ごした子供時代を題材にした本を最近出版し、話題を呼んでいます。
その上、彼女の幼い子供が将来望めば選択することができるようにと、彼女も今後ミッテラン姓を名乗ることにしたと公言しています。

有名人であろうと1人の人間には変わりないという世論。
そして、恥じることよりも、自分に正直に生きることの方が大切とされるエスプリ。
いわゆるワイドショーのようなテレビ番組がフランスにないのは、そんな所以なのかも知れません。