197 新年はどこで過ごすの?
年の一大イベントだったノエル(Noel:クリスマス)も終わり、次の話題はヌーヴェロン(Nouvel an:新年)をどう過ごすかということ。
よく聞かれるのが…
「ウ チュ パス ル ヌーヴェロン?(Ou tu passes le nouvel an ?:新年はどこで過ごすの?)」
…という会話。
フランス人はノエルを家族とともに過ごすのに対し、ヌーヴェロンは友達と過ごします。
仲の良い友達同士で誰かの家に集まって、食事をしたり、飲んだり、踊ったりという楽しみ方が一般的です。
私も、毎年友人達とヌーベルロンを過ごしますが、実は昨年、とてもビックリなヌーベルロンを過ごしてしまいました。
それは、仲の良い友達が…
「サン ブリユ(Saint Brieuc)というブルターニュ(Bretagne)にある町で新年を迎えるけど、一緒にどう?」
…と誘ってくれたことから始まりました。
特に予定もなかったし、また遠出もできるのでOKの返事をしました。
パリから車で4時間ほどでサン ブリユの町に着き、友達と合流。
そして、年を越す会場まで案内してもらうと、なんとそこは病院!
話しを聞くと、医学部の友達が研修をしている病院の、お医者さん用の食堂で年越しをするとのこと。
「そんなの聞いてないよ~」
…と言いたくても、時すでに遅し…。
結局、苦笑いしつつも病院の食堂で過ごすことになりました。
当直のお医者さん達も混じっての食事(白衣を着たままの人も!)。
主菜は、海が近いということもあって海の幸の盛り合わせ。
新鮮で美味しく、また、お医者さんや友達もみんな気さくな人だったので、病院の食堂ということも忘れて楽しく過ごすことができました。
そして夜中の12時を回って新年になると、みんなで
「ボナネ(Bonne annee:明けましておめでとう)!」
…と言いながらビズ(bise:頬と頬を合わせてチュッとする挨拶)をします。
そうしているうちに誰かが…
「じゃあ、行こうか!」
…と歌を歌いながら一列になり、前の人の肩に手をのせてテーブルの周りを歩き出しました。
「何が始まるんだろう…」
…と不安になりながらも列に加わると、今度は食堂の外に向かって歩き出したのです。
「何!?」
…と驚いている私をよそに、列は病院の中へ。
「声を落としましょう」
…という合図とともに歌声のボリュームは下げられましたが、その歩みは止まりません。
患者さん達は、最初、何事かとビックリしていましたが(当たり前ですよね)、以外と嬉しそう。
中には、一緒に歌い出す人もいて、
「ちょっと不謹慎じゃないの?」
…と思っていた私の不安を取り除いてくれました。
フランス人の別の友達にこのことを話すと、みんな大笑い。
貴重な経験だったねと言ってくれます。
確かに2度とは味わえないお正月の過ごし方だったかもしれません。
でも、1回で十分かも!?