176 味覚の秋、それぞれの事情

秋の色を、日々重ねていくパリの街。
マルシェ(朝市)をのぞけば豊富な種類のきのこ、いちじく、ぶどう、栗、くるみ…と秋の味覚が勢ぞろい。

実りの秋を迎えたフランスで、この1週間、la semaine du gout(味覚週間)と呼ばれるキャンペーンが行われました。
このキャンペーン、1999年に砂糖の消費の激減を危惧した関係者と、フランス グルメの第一人者、ジャン リュック プティルノー氏が、ファースト フードに汚染されていくフランス人、特に子供達の味覚を守れと立ち上げたものなのだそうです。
そして、2003年からは仏農業省の後援も受け、今やすっかりお馴染みのものになりました。

今年は全国18万6千の小学校で、3,000人のシェフ、パン屋、パティシエ、チーズ屋、肉屋、農業従事者などの味覚のプロがレッスンを実施。
コックさんのシェフ帽子をかぶって真剣にプロの技に見入る子供達の可愛いこと。
この中から、将来の三ツ星シェフが誕生するのかも知れませんね。

一方、大人向けイベントとしては、約450軒のレストランがお手頃価格で特別メニューを提供。
さらに、街ぐるみのピクニックや農場体験、郷土料理の料理教室など、大小あわせて700近いイベントが行われたのだとか。

ところが…、せっかくの味覚週間を楽しむことが出来ない人達もいらっしゃるのです。
それは、フランス国内に500万人いると言われるフランス第2の宗教、イスラムの信者の方々。
彼らにとってはとても厳しい1週間、いや1か月。
というのも、信者には欠かすことの出来ない断食が始まっているからです。

たくさんの人々が暮らすフランスならではの、暮らし模様だな~と思います。