118 朝が来て、夜が来て
南仏プロヴァンス(Provence)を旅して来ました。
ほんの数日の短い旅でしたが、その中で心に残ったことを2つ、お話したいと思います。
1つめは、南仏の空について。
それは、パリのリヨン駅(gare de Lyon)からTGV(フランスの新幹線)に乗り、南仏アヴィニヨン(Avignon)に着いた時のこと。
駅の建物から外に出ると、目の前に広がる空に、まず驚かされました。
周囲に何にもないからなのでしょう、とにかく空がとても広く感じられ、また、ずっと遠くまで見渡すことが出来ました。
普段生活しているパリの街では、常に建物に囲まれているせいもあるのでしょうが、あの、アヴィニョンの駅前に立った時の解放感といったら、本当に心地よいものでした。
そしてまた、春の日の夕方の、穏やかに暮れて行く空の色も、忘れられない思い出です。
それはまさに、この地で作られるワインの色、コート ド プロヴァンス(Cotes de Provence)のロゼ、そのものでした。
2つめは、南仏特有の風景とそこに流れる時間について。
この短い旅の中で見た、南仏プロヴァンスの風景は、とても素晴らしいものでした。
遠くには穏やかな山容が連なり、あちらこちらに白い雲がたなびき、そして静かに風が吹いていました。
そしてその中で、糸杉が風に揺れ、たくさんの花が咲き、人も、犬も、猫も、馬たちも、のんびりと暮らしているように見えました。
もちろん、パリにも、また、南仏の町や村にも、朝が来て、昼が来て、夜が来るのですが、1日24時間という同じ時間の流れとは思えないような、のんびりとした風景が、そこにはありました。