076 アンティークとブロカント

フランス パリでは、大小さまざまな骨董市や蚤の市が開かれています。

なお、フランスにはアンティーク(antique)と、ブロカント(brocante)という言葉があって、50年を境にしてそれより古いものをアンティーク、それよりも新しいものをブロカントと呼ぶようです(100年を境にするという考え方もあるそうです)。

そして、パリの街中で開催される骨董市や蚤の市の広告(看板やチラシなど)を見ていると、その市がアンティークを中心とした市なのか、それともブロカントを中心とした市なのかが、タイトルや説明の書き方などで解ります。

なお、アンティーク中心の骨董市には、お城や貴族の邸宅から持ってきたような高級な家具や装飾品、絵画などが並んでいて、私達には少し(かなり?)場違いな感じになってしまいます。

先日も、パリ郊外で開かれたアンティークの骨董市を覘いてきたのですが、その違いが浮き彫りになってしまいました。
最寄の駅から歩いて会場に向かった私達に対して、他の皆さまはジャガーやメルセデスなどの高級車でお出かけのご様子。

また、ジャンパーにジーパンといういでたちの私達に対して、男性はシャツにネクタイ、女性は毛皮のコートなどを着ていらっしゃいました。

さらに、買った品物を紙袋やビニール袋に入れて持ち歩く私達に対して、皆さまは手ぶら。
買った品物は、後ほどご自宅に届けていただく様です。

一方、ブロカントの蚤の市は、私達にとって親しみのある、身近な存在。

使い古した台所用品や、味のある日用雑貨などが並んでいます。
また、集まって来る皆さまもご近所にお住まいの方が多いようで、蚤の市をやっているから、ちょっと覘いてみた…という雰囲気です。

中には、ヴィド グルニエ(vide greniere)と呼ばれる、日本のフリーマーケットのような催し物もあり、開催されている地域にお住まいの方々が、各自の不用品を持ってきて、路上に並べて売っています。
そして、そこに並べられた品々から、この地域に住む人々の、生活の様子を窺うことも出来ます。

しかし、時には、こんな市にも掘り出し物があります。
有名なクリニャンクールやヴァンヴの蚤の市では20ユーロ(約2,800円)くらいの値がつけられている品物でも、街中のヴィド グルニエでは、たったの1ユーロ(約140円)なんてこともあります。

ところで当店では、アンティークの骨董市で見つけた100年以上前のトーション(torchon:布巾)と、ブロカントの蚤の市で見つけたちょっと古いトーションの両方を、近々ご紹介する予定です。
ちなみに、アンティークのトーションとブロカントのトーションとでは、買った際の値段に3倍以上の価格差がありました。
当店が掲載する写真でその違いがお判りいただけるかどうかは分かりませんが、是非、ご覧になってみてください。