059 パリで想う日本のワイン

先日、ある方と、夕ご飯をご一緒させていただきました。
お名前は記しませんが、ここではX氏としておきましょう。

この方、かなりの食通で、フランス料理やワインにとてもお詳しいのです。
以前は、フランスの某有名レストラン ガイドの審査員(普通のお客様を装ってレストランを訪ね、サービスやお料理について評価する人)を務めていらっしゃったり、また、フランスワインの振興に貢献した方が受賞される功労勲章を7つも持っていらっしゃったり。

なお、お話が日本の事になった時、僕にとってはとても嬉しいことがありました。
X氏曰く…

「日本のワインもいくつか飲んだけれど、Iwanoharaは良かったね」

…と。
Iwanoharaとは、僕の生まれ故郷、新潟の岩の原ワインのこと。

今から20年近く前、僕はよくオートバイに跨って、岩の原葡萄園に出かけていました。
そして、ぶどう畑の丘に登っては、そこからの美しい風景を眺めたり、日本最古と言われる蔵の中を見せていただいたり、ちょっとだけ試飲させていただいたりしていました。
また、お気に入りのワイン(深雪花の赤)を買っては、それをオートバイのシートにくくり付け、家路を急いだものでした。

あの当時から、新潟の田舎にある小さなワイナリーでは、とても上質なワインが作られていたのです。
また、あまり知られてはいませんが、日本のワインの礎を築いたのも、この岩の原葡萄園。
さらに当時は、皇室御用達のワイン(ラベルに菊の御紋(菊水=菊の花が水に流れる様子)が描かれたワイン)もありました。

フランス パリのレストランで美味しいお料理とワインをいただき、また、食通の方から楽しいお話を伺いながらも、心はすっかり故郷新潟に帰ってしまった僕なのでした。