028 デ ヴィニス イリュストリビュス

ワインの世界には、いろいろな人が携わっています。
畑を耕して、ぶどうを育てる人。
ぶどうを仕込んで、ワインを造る人。
出来たワインを流通させる人に、レストランでワインを給仕する人など…。

なお、ここにご紹介するリオネル ミシュラン(Lionel MICHELIN)さんは、言わばワインの骨董屋さん。
そう、昔々に作られた古いワインを扱う、ワインのアンティーク ショップを営んでいらっしゃいます。

リオネル ミシュランさん
デ ヴィニス イリュストリビュスのリオネル ミシュランさん。
ご自身の生まれ年のワインとともに。

【歴史】

大学で法律を学んでいたリオネルさん。
勉学にいそしむ傍らで、ワインを扱うアルバイトもしていました。
そしてその中で、古くて上質なワインを味わう機会に何度か恵まれて、長い年月を経たワインが持つ、不思議な魅力に引き込まれるようになりました。

しかし卒業後は、フランスの大手通信会社に勤めることになった彼。
時はまさに情報化の時代。仕事はとても忙しく、世界を飛び回ることに。

なお世界のあちらこちらで美味しいものを食べたり、美味しいワインを飲んだりしているうちに、学生時代に経験した、古いワインが持つ不思議な魅力を思い出すことに…。
そして気がつけば、ワインの世界にすっかり魅せられて、自らの進む道をも変えることになりました。

リオネルさんとドミニクさん
ワインの骨董商、リオネル ミシュランさんと奥様のドミニク ミシュラン(Dominique MICHELIN)さん。

リオネルさん
ワインは農産物。
だから出来の良い年もあれば、そうでない年もある。
そのことを(瓶の中身)をきちんと把握して、お客様に正直に伝えることが大切と語るリオネルさん。

ドミニクさん
ドミニク ミシュランさん。
デ ヴィニス イリュストリビュスではマーケティングを担当。
フランス語や英語の他、日本語のパンフレットやプレス資料も作成。

【店舗】

1994年、リオネルさんはパリの5区、リヨネ通りにお店を構えます。
17世紀に作られたカーヴに古いワインを並べたそのお店は、言わばワインの骨董屋さん。
しかも、特別なワインを探し求める通のお客様を対象に、予約制でお迎えしていたお店なのだとか。

そして10年後の2004年。
同じパリの5区にあるモンターニュ サント ジュヌヴィエーブ通りの48番地にお店を移すことになります。
なおこの場所は、古いワイン好きにとっては伝説的な場所…。
とあるワイン貯蔵管理人が約50年に渡って、膨大な数のワインを保管していたカーヴがあったところです。
ワイン好きで有名なあのヘミングウェイも、ここを訪ねていたのだとか。

そしてそのカーヴを引き継いで、お店にしたのがリオネルさん。
ゆったりとした空間でお客様をお迎えし、また、探し求める1本を見つけ出し、そのワインについての詳しい説明や美味しく味わっていただくためのコツなどもお伝えしています。

なお、お店の名前はデ ヴィニス イリュストリビュス。
古いラテン語の本「DE VIRIS ILLUSTRIBUS URBIS ROMAE(ローマの有名な人物について)」のタイトルをもじって、「DE VINIS ILLVSTRIBVS(有名なワインについて)」にしてみたのだとか。

●店名
デ ヴィニス イリュストリビュス(DE VINIS ILLVSTRIBVS)

●所在地
48 rue de la Montagne Sainte Genevieve 75005 Paris

外観
パリの5区にあるデ ヴィニス イリュストリビュスのお店。
約50年もの間、膨大な数のワインが眠っていた伝説の場所。
あのヘミングウェイもワインを探しに訪れたそうです。

店内
デ ヴィニス イリュストリビュスの店内。
普通の酒屋さんとは随分と趣きの異なる店構え。
品格あるその店内は、まるで会計事務所か法律事務所のよう…。

カーヴ
地下1階、2階のカーヴへと下りる階段。
雰囲気のある石段と不思議な静けさ、そして冷んやりとした空気。

カーヴ
地下1階のカーヴ。
鉄格子の向こうには、宝物のようなワインが静かに眠る。

カーヴ
地下2階のカーヴ。
壁に取り付けられたバッカス(お酒の神様)に見守られながら、じっくりと熟成を重ねるワインたち。

【商品】

リオネルさんが扱うワインの多くは、長い時の流れを経たもの…。
1世紀以上の時を経たものや、すでに蔵元がなくなってしまった幻のワイン、さらにはグレート ヴィンテージと呼ばれる年(ぶどうの作柄が大変に良かった収穫年)のワインまでと、実にさまざまなワインが揃っています。

なお中には、瓶のラベルが朽ちてしまったものもあるけれど、これはワインが常に湿度のある冷暗所に保管されていた証。
ワインそのもの(瓶の中身)にとっては、とても良い状態に置かれていたことになります。

リオネルさんは言います。
「ワインは農産物。だから出来の良い年もあれば、そうでない年もある。また造られた後も、正しく扱われてきたかどうかが大事。そしてそれらのことを(瓶の中身)をきちんと把握して、お客様に正直に伝えることが大切と…」

ワイン
長い年月を経たワインたち。
産地や蔵元ごとに分けられて、木箱の中に納められている。

ワイン
フランス ブルゴーニュ地方、幻のドメーヌ(蔵元)とも呼ばれるシャルル ノエラ(CHARLES NOELLAT)のワインたち。
いま、最も手に入りにくいワインの1つ…。

ワイン
フランス ボルドー地方、5大シャトーの1つ、ムートン…。

ワイン
フランスの偉大なワインが静かに並ぶ。
一生に1度は飲んでみたい…。