026　ミニラボ

「小さな実験室」という意味のユニット名で活動するミニラボ（mini labo）の3人の女性。
代表作は「4月のうさぎ（Le Lapin d'avril）」と呼ばれるうさぎのぬいぐるみです。
このとぼけた、しかし愛嬌のあるキャラクターはどんなところで生まれたのでしょうか。
パリの12区にあるアトリエにお邪魔して、彼女達にお話を伺いました。


ミニラボの代表作「4月のうさぎ」。

【歴史】

ミニラボが誕生したのは2004年のこと。
デザイナーであるキャロリーヌさんとセリーヌさん、そして、プレスやマネージメントを担当するソフィーさんの3人が作った会社です。

ただし、キャロリーヌさんとセリーヌさんの2人は、それよりもずっと以前に、美術学校のベンチで出会いました。
テキスタイル（布地）が大好きなキャロリーヌさんと、絵を描くことが大好きなセリーヌさんは、その後、子供服をデザインする仕事に就き、2人で独自の世界を造り上げていきます。

そして、初めての自分達のオリジナル作品をプライベートセールで発表した時にソフィーさんと出会い、一緒にミニラボを立ち上げることになりました。

なお、3人での活動を始めた頃はなかなか大変だったそうですが、その後、日本の大手通販会社からデザインの依頼が舞い込み、これがきっかけとなって、ミニラボは軌道に乗ったのだとか。
そのため彼女達は日本が大好き。
日本は特別な存在なのだそうです。

なお彼女達3人は、それぞれ2人の子供を持つお母さんでもあります。
仕事と家事との両立は大変だけれど、3人とも理解あるご主人に恵まれて、お互いに時間をやり繰りしながら頑張っているのだとか。
3人からお話を伺っている間は常に笑いが絶えず、また、失敗談なども面白おかしく教えてくださって、そんな大変さは少しも感じさせません。
ミニラボの描く、明るくて楽しい雰囲気は、彼女達の内側から溢れてくるもののようです。


ミニラボの3人。
左から、ソフィーさん、セリーヌさん、キャロリーヌさん。

【店舗】

ミニラボのアトリエは、パリの12区にある小さな一室。
想像以上に小さな場所で活動しているのは、商品の製作や販売などの作業を他の会社に委託している場合が多いから。
彼女達が主に行っているのは、デザインを考えたり、絵を描いたり、試作品を作ったりという作業です。
そして、この小さなアトリエで膝を突き合わせながら、ピンポンの打ち合いのように3人で話し合いを重ね、新しいアイデアを形にしていくのだそうです。

「私達にエゴはないの。お互いの意見を素直に受け入れながら自然に意見がまとまるのよ」とおっしゃるセリーヌさんに、「お金のことは考えず、自分達が創りたいと思うものだけを創るようにしているの」とおっしゃるキャロリーヌさん。
そんな彼女達の言葉から、根っからのクリエイターであることを感じます。

なお、私達がアトリエにお邪魔した日は、年に1度のプライベートセールを間近に控え、作業中の花柄の生地や可愛らしい作品などがそこかしこに置かれ、それがまた、楽しい演出のようでもありました。


ミニラボのアトリエ。
壁には大きなイラストが描かれていました。


ミニラボのアトリエ。
皆さん、お忙しそう…。


ミニラボのうさぎや猫たち。
この、とぼけた表情が可愛い。


壁にはシルクスクリーンの絵が飾られていました。

【商品】

ミニラボの代表作は「4月のうさぎ（Le Lapin d'avril）」と呼ばれるうさぎのぬいぐるみ。
「不思議の国のアリス」が大好きで、ご自分の子供に「アリス」と名付けたキャロリーヌさんが、アリスちゃんのためにうさぎの小物を集めたり、うさぎのぬいぐるみを作ったりしているうちに、「4月のうさぎ」が誕生したのだそうです。

なお現在はぬいぐるみだけでなく、クッションやバッグ、缶バッヂやステッカーなどのオリジナル商品も製作し、各地で開かれている展示会などで発表しています。
また、いくつもの製作会社と契約し、文房具や布地などのデザインも提供しています。

そしてこれからも、自分達が創りたいと思うものだけを創っていきたいとおっしゃる3人。益々の活躍が楽しみです！


ミニラボの大きなぬいぐるみ「ビッグ ラブ キャット」。


植物や動物をモチーフにしているのがミニラボの特徴。


「ほほ笑む猫」。
リバティプリントの服がアクセントに。


シルクスクリーンと刺繍で仕上げた「4月のうさぎ」のバッグ。