024 エヌ ヴィラレ
「私の母やお婆ちゃんが若かった頃には、身の回りのものは自分の手で工夫しながら作ったものなのよ」
そう、おっしゃるのはエヌ ヴィラレのオーナー、ニコル ヴィラレ(Nicole VILLARET)さん。
アンティークの生地の色合いや風合を再現することから始め、手縫いの素朴さや温かさを現代(いま)に伝えるために、フランスの伝統的な生活雑貨を蘇らせています。
エヌ ヴィラレ、オベルカンフ店の店内。
美しい色柄の生地を使った生活雑貨が並ぶ。
【歴史】
若くしてファッションの世界に飛び込んだニコルさん。
それから十数年間、フランスの有名ブランドでオートクチュール(注文によって作られる1点物の服)やプレタポルテ(既製服)のデザインを手がけてきました。
「大きな企業の中でも、数年先を予測して新しいデザインを生み出していくのは、実はほんの数人の仕事なのよ」とおっしゃるニコルさん。
そんな中に身を置いて、常に先を予測し、いままでに誰も見たことのないものをこの世に生み出していく作業は、本当に大変なのだとか…。
そんな仕事を続けてきたある日、「これからは、古いもの、消えゆくものを、この世に蘇らせる仕事をしよう!」と思い立ち、エヌ ヴィラレを設立。
いままでとは正反対の方向に舵を切ったのだそうです。
ニコルさん。
長年にわたって、フランスのファッション業界を作ってきたお1人。
エヌ ヴィラレのスタッフの皆さん。
ニコルさんのお嬢様、ナタリーさんもお店を手伝っています。
アンティークの生地。
その風合いや色合いを参考にしながら、エヌ ヴィラレ独自の生地を生み出していきます。
お店の奥、事務室の棚には、アンティークの生地が山のように保存されていました(すごい量!)。
機会あるごとに、ニコルさんがコツコツと集めてきた宝物。
【店舗】
エヌ ヴィラレのお店は、パリの左岸、おしゃれなお店が軒を連ねるシェルシュ ミディ通りにあります。
店内は、とても静か。
表通りの喧騒が嘘のように、ゆったりとした気持ちになります。
まるで、ここだけ時の流れがゆっくりになってしまったかのよう。
●店名
エヌ ヴィラレ(N Villaret)
●所在地
20 rue du Cherche-Midi 75006 Paris
エヌ ヴィラレの店内。
置いてある家具などもアンティークのもの。
とても落ち着いた雰囲気。
エヌ ヴィラレの店内。
【商品】
エヌ ヴィラレの製品作りの出発点は、まず生地を作ることから。
フランスのアンティークの生地を少しずつ集め、そしてその風合いや色合いなどを参考にしながら、エヌ ヴィラレ独自の生地をデザインし、作ります。
しかしそんなことができるのも、長年にわたってデザインの仕事を手がけてきたニコルさんだからこそ。
フランスの伝統的な品物が持つ雰囲気を現代(いま)に蘇らせるため、生地作りから始めてしまう徹底ぶりなのです。
そして、理想の生地が出来上がった後は、縫製へ。
手縫いの素朴さや温かさを生み出すために、工程の多くは手仕事で進められるのだとか。
製品作りに思いを込めるニコルさんのお話を伺った時、どこか日本の伝統工芸にも通じるような、そんな印象を受けました。
エプロンやテーブルクロスなど。
ベッドカバー。美しい花柄のデザインが多い。
クッションや枕など。