005 印象日の出 受難日誌5/8

Copyright:坂田 正次

強奪されたモネの「印象日の出」はどこにあるのでしょうか?
強奪事件の起こる3か月前、パリを訪れた美術愛好家が、ある日本人に「モネの印象日の出があったら、買う気があるか」と持ちかけられたといいます。
この人物が藤曲信一だったかどうかは明確ではありません。

【事件後の1987年11月09日】

フランスの捜査当局は、コローの盗難を担当する仏内務省の盗難美術品取締中央局のミレイユ バレストラッジ警視正と、モネの方を担当するパリ警視庁 レモン メルツ警視正を日本側との打ち合わせのために日本に派遣しました。

来日したバレストラッジ女性警視正に声をかけたら無視されたと、双子のタレントのおすぎとピーコのおすぎのほうがこぼしていたのはご愛嬌として、バレストラッジ警視正は「モネの代表作が日本にあるという証拠は何もなく、東京で盗品を買って返してきた収集家には原則として保証はしない」と述べました。

時は流れ、日本から離れてゆく印象派絵画 2001年05月12日のニューヨーク、クリスティーズオークション。
名画事件のあった時の、バブル期に日本企業などが輸入した絵画は1兆円を超え、バブルがはじけ値下がりして売れない絵画が銀行の担保となり倉庫に眠っていました。
この日、消費者金融のレイクが保有する絵画がまとめて売りに出されています。
買い手は好況が続く米国です。
レイクは前年GEキャピタルに消費者金融部門を譲渡しました。

最も高値で落札されたのはモネの「ヴェトゥイユの庭」で、落札額は270万ドル(約3億3,000万円)。
1990年にオークションで日本人が落札したときの価格は490万ドル(約7億5,000万円)でした。
約半額での売却となります。

この他、日本が買った高額絵画は続々と海外へ流出していて、ゴッホの「医師ガシェの肖像」が1997年に115億円で海外へ売却され、ルノワールの「ムーラン ド ラ ギャレット」が1997年に109億円で米国へ売却、ピカソの「ピエレットの婚礼」が所有会社の倒産によりレイクが保有し、72億円で海外での売却に向けて動いています。
また、ピカソの「軽業師と若い道化師」は43億円でヨーロッパへ売却されました。