387 星付きレストランにて

ミシュランガイドの東京版が発行されて話題になったとのこと、インターネットのニュースで拝見しました。

また、掲載されたすべてのお店に星(1つ星から三ツ星まで)が付いたことや、ミシュランガイドの総責任者が「東京は世界一の美食の街」とおっしゃったとのことも伺いました。

このコラムをお読みいただいている方の中には、すでにミシュランガイドをお買いになり、早速、お目当てのお店にお出かけになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

なお、食べること、飲むことが大好きな私達。
昨年、フランスにあるいくつかの星付きレストランにお邪魔する機会がありましたので、今日はその際に驚いたことや気の付いたことを、5つお話したいと思います。

1つめは、とある三ツ星レストランに予約の電話を入れた時のこと。

夕食の予約をお願いしたら、1か月先までいっぱいとのこと…。
ただし、昼食であれば空きがあるとのことでした。
以前、雑誌に「1~2か月先まで予約でいっぱい…」なんて書いてあったのを見たことがありましたが、「本当にそうなんだ!」と驚きました。

また、予約の際にお店の方から「お電話番号を教えてください」と聞かれたのでお伝えしましたが、電話の最後に言われて驚いたのは、「ご予約日の2~3日前に、もう1度、確認の電話をください(本当に来るのかどうか、連絡してください)」と言われたことです。
僕からすれば、先程自宅の電話番号をお伝えしたわけですし、また、世界に名立たる三ツ星レストランなのですから、「ご予約日の2~3日前に、確認のためのお電話を入れさせていただきます」と言われるのかと思ったので、「えっ! 私の方から電話をするのですか?」と聞き返してしまいました。

2つめは、フランスの地方都市にある2つ星のレストランに行った時のこと。

予約の時間にお店に着いたら、玄関のドアは閉まり、鍵が掛かっていました…。
「あれ? お店の電気は点いているのに…。少し早く来すぎたかな?」と思い、しばらくドアの前で待つことにしました。
そして、ふと、ドアの脇を見たら、そこには小さな呼び鈴が!
この呼び鈴を鳴らして、お店の人に中からドアを開けていただく仕組みになっていたのです。
このようなドアは、パリの街中にある高級宝飾店などでよく見かけますが、フランスの地方の町のレストランでも使っているなんて!と、驚きました。

3つめは、レストランでのマナーについて。

一般に、「お皿を動かさないのが西洋料理のマナー」とか、「2人で前菜と主菜に別々のお料理を注文し、食事中に切り分けて交換したり、お皿ごと取り換えたりするのは行儀が悪い」などと言われます。
しかし、せっかくの機会なのですから、いろいろな味を試してみたいと思うのも正直なところ…。

そんな時、私達は、給仕の方にお皿を交換しても良いかどうか、尋ねるようにしています。
すると、「どうぞ、交換なさってください」とだけおっしゃるお店もあれば、「はい、承知しました」と給仕さんが私達のお皿を交換してくださるお店もあります。
中には、「ちょっと待ってくださいね」と言われて待っていると、給仕さんが2人やって来て私達の両脇に立ち、あうんの呼吸で同時にお皿を交換してくださる(この動きが素晴らしくスムーズで、何かのパフォーマンスを観ているかのよう…)ところや、新しいスプーンやフォークまで用意してくださるお店など、対応もさまざまです。

4つめは、私がいつも心に思いつつ、でも、いまだに実行に移したことがないこと…。

それは、飲み切れずに瓶に残してしまったワインの持ち帰り。
星付きレストランともなれば、普段は口にしないような、良いワインを注文することが多いもの。
しかし、飲み切れずに残してしまうと、食事の後に片づけられてしまいます…。
僕としては、お値段の高い安いに関わらず、気に入ったワインであれば、持ち帰りたいと思うのです。
しかし、ワインの瓶を片手にお店を出て行くお客さんなんて見たこともありません…。
いつの日か、給仕さんにそっと尋ねてみたいと思っています。

5つめは、レストランのメニューをお土産にくださるお店があること。

値段の記されていないメニューに、シェフがサインをして渡してくださったり、お持ち帰り用(お土産用?)の小さなメニューに私達が注文したお料理を書き込んでくださるとともに、シェフのサインやお礼の言葉を添えてくださるお店など、最後まで私達を楽しませてくださいます。

なお、次回のコラムでは、レストランの楽しみ方やマナーについて、お話したいと思っています。
どうぞお楽しみに。