378 ありのままの姿

先日、南仏マルセイユ(Marseille)の街に行ってきました。
実は、正直を言うと、マルセイユには、それほど行ってみたいとは思っていなかったのです…。

なぜならば、以前、パリに住むフランス人の友人と旅の話をしていた時に…

「マルセイユは街も汚いし、治安も悪いから、行かないほうがいいよ」

…なんて言われていたからです。

また、日本の某ガイドブックにも…

「残念ながらマルセイユは、フランスで最も治安の悪い町のひとつ…(中略)…旅行者を狙った強盗事件が頻発している」

…とか…

「治安の悪い地区もあるので、ホテルは周りの様子をよく見てから選ぼう」

…なんて書かれています。

しかし、今回はマルセイユに住む友人達からのお誘いであったことや、また、彼女達のアパートに泊めてもらえること、さらには、行動をともにしてもらえることなどから、出かけてみることにしました。

そして、実際に行ってみた感想は…

確かに、お世辞にもきれいな街とは言えませんし、また、街中には本当にさまざまな人種が入り乱れ、ここがフランスである(ヨーロッパである)とは思えないような感じがしました。

さらに、街中を歩いていたら、後ろから近寄ってきたお爺さんにいきなり怒鳴られたり、子供達からは「お母さん、見て見て、中国人だよ!」なんて指を差されたり…。

しかし、今回の旅で気がついたことが1つ。

それは、私達2人がいままでに見てきたフランスは、きれいなところだけを選んでいたということです。
「世界遺産に登録された歴史ある街並みは…」とか、「中世の雰囲気を色濃く残す美しいこの町は…」など、誰もが憧れ、そして美しいと言われるところだけを旅していたのです。

今回の旅では、マルセイユで生まれ育った友人達に案内してもらい、その、ありのままの姿を見せてもらったような気がします。
さらに、たった2泊3日の旅ではありましたが、私達2人が日本の某ガイドブックを片手に廻っていたいままでの旅とは、明らかに異なる経験をすることができたとも思います。

そして、パリ、リヨン、マルセイユと、フランスの3大都市の1つがこのような様子であることを知り、この国の舵取りの難しさをあらためて想像しました(フランス大統領の言葉は、この街の人達に届いているのだろうか…とも)。

しかし、マルセイユの空は本当に青く、海もきれいで、吹く風にはいつも潮の香が漂い、街のどこを歩いていても常に海を感じることができました。

また、人々は皆声が大きく、あっけらかんとしていて、優しい…。
そして出会った人々が、「また、おいでよ!」と言ってくださったことが、何よりも嬉しかったのです。
マルセイユ、大好き!