352 気になる2人

私達のご近所に、気になるおじいさんが2人いらっしゃいます。
今日は、彼らについて少しだけお話しましょう。

1人めは、私達の住むアパートの前にある紙屋(papeterie:パペトゥリ)のご主人。

白髪で、少し背中の曲がった、物静かなおじいさんです。
彼の小さなお店には、フランスやパリの地図が少しと、何色かのコピー用紙、そして、ちょっと古くなった絵はがきが並んでいるくらい(これがなかなかいい雰囲気!)…。
そのためか、お客さんが入っているところはまだ見たことがなく、いつも彼1人です。

お店に入ったすぐ右側に椅子が1つ置いてあり、おじいさんは、いつもそこに座っています。
私達がいつお店の前を通っても、じっとその椅子に座り、ただ、本を読んでいらっしゃいます。
ちょっとうつむき加減に本を読むそのお姿は、まるでうたた寝でもしていらっしゃるかのよう…。
お店の中はいつも静まり返っていて、まるでそこだけ時の流れが止まってしまったかのようなのです。

2人めは、私達の住むアパートの辺りに車を止め、運転席に座ったまま絵を描いていらっしゃるおじいさん。

白髪で、ちょっと気難しそうな感じのおじいさんです。
おじいさんの車は白いバン(箱形の有蓋トラック)。
その中に、紙やスケッチブック、絵の具や筆などがたくさん積まれていて、人が座ることができそうなのは運転席のみ。
おじいさんはそこに座り、いつも黙々と絵を描いていらっしゃるのです。

しかし、このおじいさん、車の中で生活している訳ではなく、ご近所に住んでいらっしゃるようです。
そしてどうやら、この車をアトリエとして使っているようです。

なお、いつも身体で覆い隠すように絵を描いていらっしゃるので、彼の作品は、まだ1度も見たことがありません。

紙屋のおじいさんも、また絵描きのおじいさんも、いつか声をかけたいと思いつつ、ちょっと離れたところからその様子を窺っているのみ…。

あ~、お友達になってもらって、いろいろとお話を伺ってみたい…。
そしていつの日か、お2人を日本の皆さんにご紹介することができたらいいのですが…。