242 夢のサロン ド テ

先日、パリの街を歩いていたら、本のマルシェを見つけました。
パリの15区、ジョージ ブラッセン公園(parc Georges Brassens)の脇にあるマルシェ デュ リーヴル(marche du livre)という場所です。
石畳の広がる敷地の中に屋根と柱だけの建物があり、その下が古本市になっています。

パリの古本市と言えばセーヌ河畔に連なるブキニスト(bouquiniste:露店の古本屋)が有名ですが、最近は古本屋さんと言うよりも、観光客相手のお土産屋さん(?)という感じのお店も…。

しかし、ジョージ ブラッセン公園脇の古本市は、文字どおり、古本や古地図ばかりが並んでいます。
また、ここを訪れている人たちも、本当に本がお好きな方といったご様子。
皆さん真剣なお顔で探し物をしていらっしゃるようでした。
せわしいパリの街にありながら、ここだけはとても静かに、そしてゆっくりと、時が流れているようです。

なお、たくさんの古本の中から僕が興味をいだいたのは古い絵本。
現代のフランスの絵本も色鮮やかで楽しいのですが、フランスの古い絵本には独特の雰囲気があります。

優雅とでも言うべき美しい表紙…。
そして、絵本の中の優しい色使い…。
さらには、手にとった時の不思議な温かみや、何とも言えない匂いなど…。

そのどれもに心が癒される感じがします。
そして、はたと思いついたのは、

「こんな素敵な絵本だけを集めた、小さなサロン ド テ(salon de the:喫茶店)があったらいいだろうな~」

というもの。
フランスの古い絵本を手にとって、美味しいお茶でも飲みながら、ゆったりと時を過ごすことができるような空間。
アルコーブ(alcove:室内の壁面に作られたくぼみや付属的な小部屋)のような造りになった静かな席で、フランスの古い絵本の匂いや手触り、優しい色使いなどを楽しむことができるようなお店です。
夢だな…。