225 えっ! パン屋と魚屋に?

春まだ浅いある日。
パリにある、とあるアパートのすべての部屋に、1枚のチラシが配られました。

「皆さん、こんにちは。アパートの1階にあるパン屋です。突然ですが、当店は近々改装することにいたしました。お店の半分はいままで通りパン屋に、そして、もう半分は魚屋にいたします。どうぞよろしく」

フランスでは、魚の臭いを嫌う人も多く、また、焼きたてのパンの香りとは合わないことから、「何で、パン屋と魚屋なんだ?」と、アパートの住人達は一様にいぶかしく思っていました。

しかし、いつまでたっても改装工事は始まらず、お店の半分が魚屋になることはなかったのです。

ある日、アパートの住人が…

「お店の半分を魚屋にするんじゃなかったの?」

…と訊ねてみたところ…

「ワッハッハッ、冗談ですよ、冗談。エイプリル フールのね!」

…だって!

ちなみにフランスでは、毎年4月1日のエイプリル フールに、テレビやラジオからまことしやかな嘘が報じられるそうですが、今年は新しい雇用制度に対するデモやストで国中がゴタゴタしていたせいか、ほとんど報じられることがなかったそうです…。