パリでの食事 ある日の我が家の昼ご飯

204 ちょっと美味しいチーズがあれば

フランスに暮らすようになったばかりの頃、語学学校で知り合った留学生から聞いた不満の中に、「ホーム ステイ先の夕食にハムが出た。ハムだけですよ!」というのがありました。

当時の私もフランスの暮らしがよく分かっていなかったので、「それはちょっと寂し過ぎるね…」と相槌をうっていました。
高いお金を払ってホーム ステイしているのに夕食がハム…。
食の国フランスの家庭料理がそんなもので終わるはずはないと、どこかで勝手なイメージを持っていたのです。

けれど、7年以上の月日を経て、フランスの豚肉加工品の種類の豊富さと美味しさを知り、また、夫(フランス人)の「ハムでいいよ」という言葉に甘えて、手抜き(!)をしたい時や急いでご飯の支度をしなければいけない時、豚肉加工品がパンとチーズとともに食卓のメインを飾ることがあります。

先週末、午前中に家族で近くの森を散歩した帰り…

「今日のお昼は何にしようか~?」

…とやる気のない感じで家族に問うと、案の定…

「ハムでいいよ。生ハムまだあったよね?」

…という夫。「シメシメ…」と思いつつ…

「本当にそれだけでいい? 他に何にもないよ?」

…と続ける私に、6歳になる娘が…

「それにパンとちょっと美味しいチーズがあればいい」

…の一言。
少し大人びた言い方にも驚いたのですが、それ以上に、我が子ながら彼女の中に蓄積されている食文化が「ご飯にお漬物」ではなく、「パンにチーズ」であることにハッ!とさせられました。
娘のその言葉を受けて…

「そうだ! 美味しそうなレシピをこの間見つけたんだ。それで食べてみよう!」

…と夫。
帰り道に田舎パンを買い、急いで帰宅してオーブンに火をつけました。
そして、夫の見つけた美味しそうなレシピとは…

  1. 田舎パンを程よい大きさに切る。
  2. セミハードタイプのチーズ、トム ド サヴォワ(Tomme de Savoie)をスライスしてパンにのせる。
  3. 林檎または洋梨の皮をむき、8等分に切ってチーズの上にのせる。
  4. オーブンに入れて、チーズが溶けるのを待つ。

帰宅して10分も経たないうちに、台所に広がる何とも言えないいい香り。
ハムを添え、ちょっと甘めの白ワインとともにいただくと、これがなんとも美味!
夜の分までと思って買ったパンがなくなってしまうほど、ハムとパン、それにちょっと美味しいチーズがメインのお昼ご飯を楽しみました。