192 子供のための本の展示会

11月30日から12月05日まで開かれた、モントルイユ(Montreuil)のサロン ド リーブル ジュネス(Salon du Livre Jeunesse:子供のための本の展示会)。
今年は「ブラジル」と「動物」の2つのテーマで開催。
展示場は2フロアに分かれ、260の出版社や出版協会が展示し、約15万人もの人々が訪れ、そのうち3万人の子供達が授業の一貫として招待されました。

私が足を運んだ初日は、とにかく人、人、人。
フランスの素敵な絵本や子供向けの小説、漫画などが所狭しと並んでいて、大人から子供までいろんな色や形、大きさの本を手にとり、ニコニコしたり、時には真剣に見入ったり、みんなが本の魔法にかかっていました。
ここ何年かフランスの出版業界で問題になっているのが、大手出版社による小さな出版社の買収。
フナック(fnac:本やDVDなどを売る大手小売チェーン店)などの大きい本屋は、大手の出版社と契約して本を置きがちなので、小さい出版社の本は小さい本屋でしか扱われず、だんだんと経営が難しくなってきているのです。

そしてもう1つの問題が、買収によって個性のある出版社が大手の色に染まってしまい、フランスの本に特徴がなくなってしまうのでは…ということ。
もし、そうなってしまうと、本当に悪循環になって面白味のある素敵な本がなくなってしまうかも知れません。

今回の展示会場でもその問題を考慮してか、大きい出版社から小さい出版社まで素敵な本づくりをしている出版社を、展示会主催者が選び、道順を記したパンフレットを配り、小さな看板を立てていました。
そのおかげで、入り口から遠いところにあるスタンドでも、特徴のある本づくりをしている出版社は、スタンドの前で子供達と楽しそうに話をする出版者の姿が見かけられました。

今年で21回目になるモントルイユのサロン ド リーブル ジュネス。
子供達だけでなく、大人達にも夢を与えられる本づくりをする人達との交流の場所として、また、素敵な本にたくさん出会える場所として、これからもずっと続いて欲しいと思います。