パリの小さな公園について

179 桐の三角公園

私達の住むアパルトマンの目の前に、小さな小さな公園があります。
いいえ、公園と言うにはあまりにも小さ過ぎるかも知れません。
フォセ サン ジャック通り(rue des Fosses Saint Jacques)がY字型に分かれた角にある、三角形の小さな広場です。

そこには噴水が1つ。
また、それを取り囲むようにベンチが9つ。
そしてパリの街中ではあまり見かけることのない桐の木が12本立っています。

平日のお昼時には、学生さんや近くで働く人々が、ベンチでお昼ご飯を食べています。
また午後には、近所にお住いのおじいさんやおばあさんが、ベンチで語らっています。
さらに夕方には、学校から帰ってきた子供達が噴水の周りで元気に遊んでいます。
そして夕暮れ時には、大人たちが公園でくつろいでいます。

特に何があるわけではないけれど、いつも誰かがいるこの公園。
私達がここに引っ越してきた夏の終わり頃には、小さな子供達が噴水の中に入って、全身びしょ濡れになりながら遊んでいました。
また、すっかり秋になった今は、桐の木からたくさんの葉が落ちて、噴水の中やその周りに積もっています。
そして冬を迎えたら、この公園がどんな景色を見せてくれるのか、今から楽しみにしています。

ところで、僕が生まれ育った実家(新潟県小千谷市)の前には、何本もの桐の木がありました。
春には薄紫色の花を付け、それはそれは美しいものでした。
また、夏には大きな葉がたくさん繁り、ちょっとした林のようになりました。

しかし、長い月日の中で切り倒されたり、大雪や大地震で倒れてしまったりして、少しずつその数が減っていきました。
そして先日、実家に電話をしてみたところ、もう1本も残ってはいないとのこと…。
それを聞いて寂しく思うとともに、しかし、パリのアパルトマンの前にある桐の三角公園に、美しい花の咲く春が待ち遠しくなりました。